世にも珍しい「好感度が高すぎて炎上」

また、新商品の告知方法も反感を浴びた。HIKAKINさんは発表の1週間前、「しばらくSNSの投稿ができないかもしれません。トラブルではないので心配しないでください」とXに投稿。加えて、YouTube配信では、波打つ海面の様子が流された。

何の発表かを伝えず、期待感をあおる。「ティーザー(じらす)」と呼ばれる手法だ。「心配しないで」と言われても、おそらくファンは心配するだろう。そうした心理を“商業化”したのではといった角度からの指摘も存在する。

このように、競合バッシングや消費者心理の観点から、HIKAKINさんに対する批判が高まっている。しかし、ネットメディア編集者として、これまでの論調を定点観測してきた筆者からすると、これは「HIKAKINさんの好感度が高すぎたゆえの結果」であり、ONICHAでなくても、いずれ起きた炎上だったのではと感じるのだ。

「カネのにおい」がしない点が人気につながっていた

HIKAKINさんは、ここ数年ネットにおいて「聖人」のような扱いをされてきた。そうした印象が定着した要因のひとつに、2020年にヤフーと共同で立ち上げたコロナ医療支援基金がある。HIKAKINさん本人も1億円を寄付し、わずか1カ月強で寄付総額は3億7000万円にのぼった。その後も、台湾地震や能登半島地震に1000万円規模の寄付を行うなど、その活動は継続している。

そもそもYouTuberという職業には、あまり良くないイメージが付きまとっていた。再生数を稼ぐため、過激な動画を撮影する人物も多く、「慈善」とは正反対の印象を持たれがちだ。「売名ではないか」とうがった見方もあるが、そこにHIKAKINさんは一石を投じた。派手な恋愛スキャンダルもなく、天狗になったり、浮ついたりしているように見えない点も、プラスに働いた。

言うなれば、HIKAKINさんは「カネのにおい」がしないところが、人気やポジショニングの基盤になっていた。ただ当然ながら、本人はそれなりの資産を持っているだろう。だからこそ、多額の寄付を行えるのだ。

なお所属事務所のUUUM(ウーム)で「ファウンダー/最高顧問」の役職を務めるHIKAKINさんは、同社の上場企業時代に、大株主の1人として有価証券報告書に載っていたこともある。