自由な精神をもつ、人生を楽しむ達人

もう22年前になりますが、NHKスペシャル「老化に挑むあなたの脳はよみがえる」に、脳科学監修として関わる機会がありました。

この番組では、さまざまなスーパーエイジャーが紹介されたのですが、その生き様──脳の働かせ方──に感銘を受けた私はひとつの結論に至ります。

「スーパーエイジャーは、自由な精神をもち、ほがらか・おおらか、人生を楽しむ達人である」(とても前向きなので「ポジティブエイジャ―」といわれることも)。

「脳」は本来、成長を続ける器官であるはずです。それなのに「成長を止める=認知症」になるのはなぜか?

22年前、私は日々、楽しく明るく暮らしているスーパーエイジャーの姿から「ストレスフリーが健康長寿の秘訣。ならば、脳の老化を加速させるのはストレスである」と考えました。

現実に、海外で数々の賞を受賞したあのNHKの番組以降、私の予測を裏づける研究報告が世界の認知症研究者から続々と発表されるようになったのです。

例えば、ストレスと海馬の関係。

海馬のX線プロファイルの3Dイメージ
写真=iStock.com/libre de droit
※写真はイメージです

強いストレスに直面するとコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールには脈拍や血圧を上げる作用があり、体を緊張状態に保ってストレスに対抗しようとするのです。

強いストレスに長期的にさらされるとコルチゾールの分泌量が増えてしまい、大量に分泌されたコルチゾールは脳の海馬の神経細胞を傷つけ、海馬を萎縮させてしまいます。

海馬とは記憶を司る部分であり、その萎縮は認知症の初期症状にあたります。過度なストレスが認知症の一因であることは確かなのです。

脳の使い方のクセを変える

さて、こう見ると、スーパーエイジャーたちは「脳にストレスの攻撃を受けていない人」といえます。しかし、それはスーパーエイジャーが、ストレスから隔離された世界を生きているという意味ではありません。

スーパーエイジャー──人生の達人たち──は、ストレス処理の達人なのです。ストレス処理に長けているのは「元々の性格」もあります。

「性格なのかあ」とがっかりした方。大丈夫、性格は変えられます。いくつになっても変えられます。「性格」とは「脳の使い方のクセ」といい換えられるからです。

スーパーエイジャーの特質ともいえる「明るく前向きな性格」になるのは、実は難しいことではありません。

最も簡単で確実なのは、「光」と「運動」で「前向きになるスイッチ」を入れて脳に働きかける方法です。