「成功者になれないのは自己責任」
同じパンクでも、投資パンクはまったく性質が違う。
かつてのパンクのように「No Future(ノーフューチャー/未来がない)」(パンクムーブメントのスローガン)とは叫ばず、「Bund Future(ブンズフューチャー/ドイツ国債先物取引)」を好んで取りあつかう。
本物のパンクは荒っぽく、無計画に動き回る。
一方、投資パンクは世渡りのうまい金融のプロ。
彼は私たちに次のように伝える。
政治や金融システムにだまされてはならない、と。それは啓蒙のようにも反乱のようにも、権利を奪われた中間層との連帯のようにも聞こえる。
けれども、過度な期待をしてはならない。彼が私たちに教えようとしているのは次のことだ。
「自分は高級車を乗り回せる大金持ちだ。成功者である投資銀行家の考え方を、いつまでも学ばないのは自己責任だ」
人生の意味は競争に勝つことではない
彼は著書で読者にこんなことも約束している。
「本書で、勝者の仲間入りをするための方法を学べます」
敗者の側にいる人は、彼の援助はもらえず、軽蔑されるのだ。
自分は成功していると思いこんでいる人たちは、とかく勝者と敗者の分類をしがちだ。
彼らの罠にはまらないように気をつけよう。
私たちの暮らしは、このつまらない対立が想定しているよりも、変化に富み、矛盾していて、味わい深いものだ。
そして、このことはしっかりと心に留めておこう――よい人生を送るということは、競争に勝つということではない。
人生の優劣を争うような競争など存在しない。勝者と敗者を区別するのはばかばかしい。
自分は勝者だと思い上がっていると、いつか自分に跳ね返り失敗する。
自分のことをよくわかっている人、自分の中に本当の強さを感じている人は、名刺の文字を金色にしたり、ウェブサイトを仰々しく飾り立てたりして人目を引こうなどとは思いつきもしないものである。


