成功の秘訣を語りたがる人たち
自身を成功者と称する人たちの話を続けよう。
彼らの中には、どうすれば自分のように成功できるか、ほかの人に教えたがる人も少なくない。
これはいささか疑わしい。
なぜなら、彼らが伝えたがっている方法が本当にいいものなら、門外不出のコカ・コーラのレシピのように、成功者は自分の成功の秘訣を守り、ことあるごとに口外したりしないはずだ。
だが、話をしたがる人にはまったく別の動機がある。
実際、自称成功者たちは、成功の秘訣を「彼らから教えてもらうことを望む人たち」を必要としている。
聞いてくれる人がいなければ、彼らは成功者でもなんでもない。ただの自己顕示欲の塊になってしまう。
自称成功者たちは、私たちに世の中について語ることで、「自分の行動はそっくりまねる価値がある」という確信を得たいのだ。
だが、これはよく考えたほうがいい。
彼らのまねはしないほうがいい。
彼らは人生の大きなゲームの中で勝者になりたがっている。自らを「ベスト」、あるいは「トップ中のトップ」と呼びたいのだ。
そして、彼らは自分のようにはならなかった人たちを、間違ったことをしている負け犬と公言する。
「臆病で、用心深く、周りに合わせてばかりいる人」「快適な環境を好み、不平ばかりでお金もうまくあつかえない人」だと。
それに対して自分たちは、「勇気があり、いつも情熱的で、労せずして稼ぐ。なぜなら、自分たちは勝者の典型だから」と主張する。
自信満々に「知ったかぶり」をかます人たち
成功のゲームがどのように機能しているのかを説明してくれる人たちは、モチベーショントレーナーやムードメーカーたちだけではない。
「投資パンク」の異名で知られるオーストリアのゲラルド・ヘアハンのような、いくらかひねくれたタイプもいる。
彼にはじめて会うと、資本主義に批判的な風刺画家が作りだしたキャラクターのような印象を受ける。
彼のはじめての著作『Investment Punk』のサブタイトルは「きみらはあくせく働き、ぼくらが金持ちになるわけ(Warum ihr schuftet und wir reich werden)」。それによると、ふつうの人たちは、金融システムに踊らされる「消費バカ」だ。
小口の投資家はだまされ、中間層が経済的な苦境に立たされるのは自己責任、という。
強烈な挑発のように聞こえる。
いや、聞こえるだけでなく、そう述べている。
なにしろ、元投資銀行家(バンカー)で、ハーバード・ビジネススクールを卒業した彼は、髪をツンツン立ててパンクな服装で登場する。
ところで、パンクとは?
かつてのパンクといえば、安いビールを片手に公園や駅でたむろし、理想的な社会を求めて体制に抵抗した若者たちではなかったか?
自分たちの質素なライフスタイルにカンパしてもらおうと、1マルクコインほしさに、通行人に話しかけていた人たちではなかったか?
彼らは品がなく映ったかもしれない。
だが、少なくとも知ったかぶりではなかった。

