上限は乗用車で週15リットル、バイクはわずか週5リットル。バングラデシュも3月6日、買い占めやパニック買いの広がりを受け、燃料の1日あたり販売量に上限を課した。

配給制限だけでは足りず、各国は需要自体を削りにかかっている。フォーチュンによると、タイ政府は3月10日、公務員にエレベーターではなく階段を使うよう命じ、冷房設定を27度に引き上げた。スーツに代えて半袖シャツの着用を推奨し、危機が続くかぎり在宅勤務するよう指示している。同国のエネルギー備蓄は残り約95日分。なりふり構ってはいられない。

ベトナムでも各企業に在宅勤務を要請し、フィリピンは週4日勤務制を打ち出した上で、政府職員の出張は不可欠な業務に限るとの方針を示した。パキスタンも政府機関を週4日勤務に切り替え、学校を閉鎖。バングラデシュは断食明けの祭りイード・アル=フィトルの休暇を前倒しして大学を休校している。

世界各地が対応を迫られている

商業向けのLPG(液化石油ガス)の供給を止め、家庭用に振り向けたインドでは、影響が食卓にも表れ始めた。

米CNNが取材したインド北西部ジャイプールの人気茶屋「グラブジ・チャイ」では、ガスの火が使えなくなり、名物のサモサとバンバターがメニューから消えた。

サモサ
サモサ(写真=kspoddar/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

サモサは高温の油で長時間揚げて軽やかな口当たりに仕上げる伝統料理で、電磁調理器では再現できない。「普段は行列ができる看板メニューなのに」とオーナーのチェタン・シンさんは嘆く。チャイは電磁調理器で沸かしているが、「同じ風味にはならない。ガスの火でしか出せない熱と香りがある」という。

アメリカ・イスラエルとイランの戦争が、インドの伝統を脅かしている。

ホルムズ海峡の封鎖で、暮らしと経済は途上国から順に追い詰められている。石油備蓄で当座を凌ぐ日本も、ガソリンや生活物資、食料の値上がりは他人事ではない。

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