無言の“褒めテク”の裏にあるもの
③呼び名で褒める(=あなたは特別な存在です)
次はちょっと特殊な承認の方法です。呼び名もまた、大きなメッセージを持ちます。
Appleの創業者スティーブ・ジョブズ氏がスタッフのことをなんと呼んでいたかご存じでしょうか? SEやエンジニアではなく、「アーティスト」です。ディズニーランドではアルバイトを「キャスト」と呼びます。スターバックスでは従業員のことを「パートナー」と呼ぶそうです。
ただの職名ではなく、その人の役割や価値を認める「敬意あるネーミング」が、相手にモチベーションとプライドを与えます。
このように、口に出して「すごいね」と言わなくても、さまざまな方法で「あなたを認めています」と伝えることができます。図表1のような行動も、すべて無言の褒め言葉です。
口に出して褒めるのが苦手な人にとって、「褒めずに褒める技術」は、承認の癖づけをしていくファーストステップとして、とても有効な手段です。
ここで挙げた手法の裏にはどれも、しっかりとした「興味」「承認」「尊敬」の気持ちがあります。これらが伝わることで、自然と信頼関係も育まれ、チームの空気も変わっていきます。
失敗を次につなげる「励まし承認」スキル
ビジネスでもプライベートでも、失敗は避けて通れないものです。順調に成果を出している人を褒めるのは比較的簡単ですが、問題は、失敗して落ち込んでいる人にどのような声をかけるかです。そんなときこそ、リーダーとしての「褒め力」が問われます。
慰めるだけでなく、次へ進む勇気も渡すこと。それが「励まし承認」です。これはとても重要なマネジメントスキルなので、少し長くなりますが具体的に解説していきます。
失敗を肯定する言葉の力
わたしが身を置く広告業界のコピーから、印象的な言葉をご紹介します。
このコピーは、相手の短所や困難を「その人らしさ」や「美点」として再解釈して、一度肯定しているのが特徴です。
言われた人からすると、否定せずに励まされたと感じます。あらためて一歩前へと進む原動力となる、背中を押す「褒め」なのです。
後輩や部下がうまくいかなかったとき、いきなり「何やってんだ! 次は絶対に結果出せよ!」と圧をかけて、うまくいくでしょうか? 萎縮させるだけで逆効果になってしまいます。

