一度だけ行われた記者会見

民間ビルの5階にある党本部の入口には、1960年に演説中に刺殺された社会党委員長の浅沼稲次郎氏の銅像が置かれている。だが、中に入ると、その風景はさながら中小企業のオフィスといった印象だ。党首室もなく、福島氏はデスクの一つに腰かけながら、テレビを見入っていた。

マルキ榎本ビル 2017年5月8日から5階に社会民主党の党本部が入居
マルキ榎本ビル 2017年5月8日から5階に社会民主党の党本部が入居(写真=Asanagi/CC-Zero/Wikimedia Commons

党本部では投開票日の午後10時過ぎに一度だけ記者会見が行われ、福島氏は自民党圧勝の見通しとなっていることに「正直、ショック」と心情を吐露した。「このままでは憲法改悪も含めて暴走していくのではないかと大変危惧している」とも語り、護憲や人権尊重といった、社民党の看板政策を推し進めていることも強調している。

また福島氏は、若い候補者の登場や入党者の増加などを挙げ、「社民党リブート」として党再建に取り組む考えも示した。だが、党内では敗北の原因をめぐる議論が噴出しており、再建への道筋をつけるのは容易ではない。とりわけ焦点となっているのが、沖縄2区で起きた「分裂選挙」への対応だ。

唯一の衆院議員の離党

沖縄2区は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力が議席を維持してきた。だが、2025年11月に、同区選出で社民党唯一の衆院議員だった新垣邦男氏が離党を表明。背景にあったのが、福島氏の党運営に対する不満だった。

新垣氏は、社民が1議席にとどまった同年7月の参院選後、福島氏に衆院へくら替えするよう求めたが認められなかったとし、離党表明の記者会見では「党勢拡大を目指すとの思いでいたが、(党内の)見解の相違やかみ合わないところがあった」と福島氏への不信感を露わにした。

さらに、無所属となった新垣氏が今年1月、中道改革連合に合流し、衆院選に立候補すると表明したことが混乱に拍車をかけた。社民党は、中道が辺野古移設の反対を明言しない中道を批判し、同じ沖縄2区に元衆院議員の瑞慶覧ずけらん長敏氏を擁立することを決定。社民党が中道への「刺客」を立てる形となり、オール沖縄は分裂選挙を強いられることとなった。