日本で漫画が発達した「本当の理由」

【養老】そこでさっきの失読症ですが、日本人の場合、角回がやられると平仮名や片仮名が読めなくなってしまう。仮名は音と文字が一対一の対応ですから、「か」とあったら「か」としか読めないし、「わ」とあったら「わ」としか読めない。それは英語がBOOKとあったらブックとしか読めないのと同じですね。

なのに、角回をやられても漢字の場合は読める。ということは日本人は文字を脳の2カ所で読んでいるんですね。漢字はわかるけれども、平仮名が読めない。これではまるで虫が食った新聞紙ですよ。

まあ、漢字が読めれば新聞だってなんとか読めるけれど、平仮名や片仮名だけ読めたって仕方がない、幼児が新聞を読むようなもんですから。

【楳図】虫が食った漢文のおベンキョウですよね(笑)。

【養老】漢字版電報(笑)。

【楳図】でも、いまの話すごいな、日本でこんなに漫画が発達したわけがわかって……。

【養老】当然それなりの理由があるということですね。

養老孟司、楳図かずお『やさしい『唯脳論』』(実業之日本社)
養老孟司、楳図かずお『やさしい『唯脳論』』(実業之日本社)

【楳図】脳というモノサシか。

【養老】物事を理解するということは、つまりそういうことなんですね。

まったく違った文脈で対応関係をつくっていくということで。そのことが正しいか正しくないか、ということとは別ですね。そういうふうに説明することを心掛けたらどうかというのが、ぼくが「唯脳論」で言いたかったことなんです。

【楳図】「唯脳論」、すごい!

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