印象派の絵は日本人と相性よし
しかし、人気の理由はそれだけではない。
印象派の絵には「予備知識」が要らないのだ。
従来の西洋絵画を理解するには、膨大な知識が必要だった。
ギリシャ神話とは?
聖書の物語とは?
この人物が持つ道具の意味は?
花が象徴するものは?
そんなふうに。
それに対して、印象派はシンプルだ。光の美しさ、水面の煌めき、風に揺れる花々――見たままを感じればいい。
自然の風景をただ楽しめばよい
西洋の「お約束」を知らない日本人にとって、これほど親しみやすい絵画はなかった。
モネの『睡蓮』を見てみよう。池に浮かぶ睡蓮、水面に映る空、揺らめく光と影。それだけだ。
神話も歴史も宗教も関係ない。ただ、美しい。
この「ただ美しい」という感覚は、実は日本の美意識とも通じている。桜を愛で、紅葉を楽しむ。理屈ではなく、瞬間の美しさを大切にする文化。
印象派が日本で愛される理由。
それはモネの作品の素晴らしさにあることに異論はない。
しかし、同時に歴史的背景もあった。モネの作品は日本人のDNAに刻まれた名画なのである。



