渡される生活費は20年間ずっと月5万円、服や靴もボロボロ、「金はない」という夫の言葉は本当なのか……。離婚や男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「十分な収入があるのに生活費を切り詰めている夫の中には、内緒で株式投資をして資産を増やしている人もいる。離婚の手続きの過程でそれが発覚すると『株の利益は自分の才覚で得たものだから、財産分与の対象にはならない』と言うことがある」という――。
電卓とがま口財布と通帳とクレジットカード
写真=iStock.com/years
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※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。

20年間月5万円でやりくり

A子さん(48歳・パート)は、会社員の夫と結婚して20年になります。

夫は誰もが知っている有名企業の会社員です。しかしA子さんは、結婚してから一度も夫の収入や貯蓄額を知らされたことがありませんでした。

夫が払っているのは、マンションのローンと水道光熱費だけ。A子さんが生活費として渡されているお金は、なんと結婚当初からずっと月5万円のままでした。

給与明細を見せてもらったことはありません。会社員なので昇給や賞与はあるはずですが、それについても一切説明はありません。夫の肩書は何なのか、ボーナスが出ているのかすら不明でした。

最初のうちはA子さんも「何に使っているのだろう」と疑問に思い、夫に聞いたこともありました。しかし夫は、「金はない」「俺にたかるつもりか」と怒るばかりで、まともに答えてくれません。

そのうちA子さんは、怖くて聞けなくなってしまいました。

物価上昇でも生活費据え置きで疲弊

子どもはおらず、A子さんはパートをしながら、なんとか生活費をやりくりしてきました。

しかし、最近の物価高で、いよいよ生活が成り立たなくなりました。米の値段が上がり、買うのもためらうような状況になったのです。

A子さんが生活費を少し増やしてほしいと頼むと、夫はやはり怒りました。

「お前が結婚した時に5万でいいと言ったんだろう」
「米が買えないならパスタを買えばいい」
「行列に並んで備蓄米を買えばいいだろう」

そう言って怒鳴るばかりで、生活費を1円も増やしてもらえず、月5万円の据え置きのままでした。

その後も、全ての食材や生活用品は値上がりしています。A子さんは極力安いものを探して買う毎日に疲弊していきました。パートの時間を増やそうともしましたが、それにも限度があります。やむなく実家や兄弟に援助してもらうこともありました。

しかし、このまま老後まで同じ生活が続くのかと思うと、とても耐えられないと考えるようになり、私の事務所に相談に来ました。