「親しみ意識」はややローカル

これまで「苦手の都道府県」について見て来たが、「親しみを感じる都道府県」のほうが先ではなかろうかというふうに感じた読者もいるかもしれない。キライを見るなら、スキも見なきゃということだ。果たして、この2つは正反対なのか、それとも同じなのか?

実は、調査年次が1996年と古いが、「親しみを感じる都道府県はどこか」という点を調べた調査がNHKの全国県民意識調査の中で行われたので、そのデータを見てみよう。

まず、苦手意識と同様に、まず、どの県に一番親しみを感じるのか(自県以外で)という点を都道府県地図に落としたマップを見てみよう(図表3)。

【図表】都道府県間の親密度:東京と大阪に親しみを覚える日本人が多い

苦手意識マップと異なり、対象先が多いので元と対象の都道府県は矢印で表した。

苦手意識と同様に、東京と大阪が、親しみを感じる都道府県として中心をなしている。しかし、苦手と異なり、東北の諸県では、東京というより仙台のある宮城にもっとも親しみを感じ、九州の諸県では、大阪というより福岡にもっとも親しみを感じているケースが多くなっている。

また、苦手意識と異なり、親しみ意識のほうは、宮崎と鹿児島のように隣接県どうしで親しみを感じている場合も多い。

つまり、苦手意識は全国的であるが、親しみ意識はややローカルなのである。もっとも、広島に関しては、周辺県で広島を苦手としている場合が多いのと同様に広島に親しみを感じている場合も多い。

この他、富山が金沢を抱える石川に最も親しみを感じ、石川はむしろ京都に親しみを最も多く感じている点、鳥取が島根に最も親しみを感じ、島根は広島に最も親しみを感じている点、あるいは青森、秋田は北海道に最も親しみを感じ、北海道は東京に最も親しみを感じている点などは、やや片思い的な状況ともいえる。

苦手も親しみやすさも「京都」が一番

ここまでは、各都道府県民が一番親しみを感じるのはどの都道府県かという調査結果だったが、次に、苦手意識と同様に、同じ調査で全体としてどの都道府県に「親しみ意識」が抱かれているかについての集計結果を見てみよう(図表4参照)。

【図表】親しみを感じる都道府県ランキング:親しみの程度は京都全国1位で長野が2位
(注)1996年6~7月実施の3万人対象の意識調査結果。人口比は1995年国調人口10万人当たり。(資料)NHK出版「現代の県民気質-全国県民意識調査-」1997年

もっとも親しみを感じる都道府県として比率が高いのは東京の9.2%であり、これに大阪の5.9%、京都の5.1%が次いでいた。一方、比率がもっとも少なかったのは鳥取の0.3%であり、福井、徳島の0.4%がこれに次いでいた。比率が少ない県は親しいと思われる割合が小さいというよりは、存在感が希薄で親しいとも意識されないだけと考えられる。

ひるがえって親しいと意識される都道府県も単に存在感が大きいからだけとも考えられる。

図では、そうした存在感の大小をキャンセルアウトした「親しみ程度ランキング」として人口10万人当たりの親しさ比率の指標を点グラフで表した。

こちらの指標で判断すると京都を親しいと感じる程度が全国的に最も大きく、長野、宮崎が第2位、第3位で続いていることが明らかになる。

前述した調査での京都を苦手とする程度は2位の長野をかなり上回っている点に京都の特異性が見て取れる。

苦手意識でも京都は特段高い程度を示している。親しみ意識と苦手意識は裏腹の関係にあると言ってよかろう。好きな相手ほど嫌いということもあるのだ。ともかく京都は日本人の感情構造の中で特別の地位を占めていることだけは確かである。江戸時代まで朝廷が置かれ、長きにわたり、政治の拠点、文化の発信地だった京都はいまでもそれだけ影響力のある地域なのである。