暴力団事務所には仕事がない
覚醒剤や大麻の密売だけが依然としてやくざのシノギであり続けているが、これも大麻流通のネット化や一般人や外国人による大麻栽培、大麻密輸などの増加で決して安泰とはいえない。
科学警察研究所の調査によれば、組員の多くは理想的な親分像の要件として「カネがあり、カネを作る能力があること」を最重視しているという。
つまり暴力団の組員はいわば暴力団を仕事の基地として、そこでの指示や自分の才覚による働きによって生活したいと考えている。
だが、暴力団事務所には仕事がなく、自分で探そうと街を歩いても、やはり仕事は転がっていない、という現実がある。
「半グレのマネ」をするまで落ちぶれている
暴力団の首脳部はついに低落する伝統的なシノギとは別の、新しいシノギを創出することができなかった。新シノギの創出は主として半グレ、匿流が担い、暴力団はわずかに彼らからノウハウを習い、マネすることぐらいしかできず、凋落の一途を辿った。
カネが大きく流れている分野に参入できればカネになるというのはシノギの真実だろう。
たとえば、かつて総会屋は大企業の総務部に名刺を置くだけで多少のカネをもらえた。与党総会屋になれば、企業からの礼金は億の単位になったし、野党総会屋でも顔が売れればそれなりにカネに恵まれた。
総会屋は1981年と1997年、二度の商法改正でほぼ絶滅した。以後、企業からカネを引き出すことが難しくなったわけだが、ご存じの通り、末期の総会屋は暴力団とイコールだった。総会屋の絶滅で暴力団のカネづるとしての企業はほぼカットされることになった。
同様にパチンコ業界には巨額のカネが流れていた。最盛期、30兆円産業といわれたが、その呼称に偽りはない。暴力団はパチンコホールにたかり、開業時には設置台数1台につき100万円の挨拶料とか、用心棒代で月500万円とか、景品買いで年商何億円とかは夢物語ではなかった。
建設の下請けや不動産関連の地上げ、生コンなどの資材でも1立米当たり5000円とか、暴力団やその組員は巨費を得ることができた。
だが、これらはパチンコ不況や不動産不況、警察の取り締まり、暴力団排除の世論などでほぼ雲散霧消した。暴力団は主要な資金源をここ何十年かであらかた失ってきた。

