“雨後のタケノコ”のように増えた宮家

その際に格好の手引きになるのが、前にも紹介した林真理子氏の短編小説集『皇后は闘うことにした』(文藝春秋)である。この小説集は5つの作品からなっており、戦前における皇族や華族の結婚がテーマになっている。

小説家というものは、人間のエゴがいかに醜いものであるかを容赦なく描き出していくが、この小説はその典型と言えるものである。

『皇后は闘うことにした』には、実は同じような記述がくり返し登場する。たとえば、「徳川慶喜家の嫁」という作品では、有栖川宮熾仁ありすがわのみやたるひと親王の姪である実枝子みえこが、徳川慶喜の嫡子、慶久よしひさと結婚することについて、熾仁親王が「雨後のタケノコのように出てきた宮家に嫁ぐよりはいいだろう」と皮肉を言う場面が出てくる。