ゆっくり後退しながら距離を取る

小池伸介『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社新書)
小池伸介『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社新書)

クマと向き合いつつ、ゆっくり後ずさりするのも有効とされている。その場合もクマがゆっくり近付いてくるのか、それとも走って向かってくるのかによって対応は異なるだろう。

クマがゆっくりと移動している場合、いわゆる「木化け」という避け方もある。これは木に化けるという意味ではなく、クマの前から消えるようにする対処法だ。クマと距離があり、自分にも気持ちに余裕があり、またクマがあまりこちらを気にしていない場合などで、クマと自分との間に樹木や岩などを挟み、それに隠れる。

クマとは目を合わせながら隠れたほうがいいのか、目を合わせないほうがいいのか、いろいろ意見もあるが、目を合わせる合わせないにかかわらず、基本的にはクマの様子をしっかり観察しながらゆっくりと後退し、距離を取っていく。そうすると、クマのほうはいつの間にか人間がいなくなったと思ってくれるかもしれない。

本気のクマから森の中で逃げ切ることは不可能

だから、自分がパニックに陥り、背中を向けて走るなどは決してしてはいけない。そもそもクマは走るものを追いかける習性があると言われている。クマも驚くし、素早い動きに反応を示す。また、走ることで人間側のパニック状態も継続してしまう。

それ以上に背を向けてしまえば、クマの様子をうかがうことができなくなる。つまり、素早い動きでクマをパニックにせず、人間の側も落ち着いて状況を観察することが重要であり、逆にクマを驚かせたり、背を向けて逃げたりすることは絶対にやってはいけない行動なのである。

クマは時速50キロ以上で走ることができ、その上木々が倒れ、岩が転がる森の中では、クマのほうがはるかに巧みなルートファインディングが可能である。クマは木登りも極めてうまい。クマが本気で追いかけてきたら、森の中で逃げ切ることはできない。

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