遭遇時の鉄則は「クマを驚かせない」
遭遇しないように気をつけていても、運悪く出遭ってしまうこともある。ただ、不意に出遭ってしまっても、人身被害に至らず、そのまま互いに離れていった事例も多い。
人身被害には、人間の行動、人間の年齢や人数、クマの性格、子連れなどクマの状態、クマがこちらに気付いているかいないか、遭遇した地形、遭遇した距離、季節や時間帯など、千差万別のバリエーションが考えられる。一つとして同じ事例はなく、何が共通していて、何が特殊なのかもよくわからないというのが正直なところだ。
そのため、「クマに出遭ったらどうすればいいか?」とよく聞かれるが、これをすれば100%安全というような正解はない。ただ、クマと遭遇した場合に人間が避けるべき反応や行動として共通して言えるのは、クマを驚かせないことだ。
クマは自分自身が生き延びていくため、あるいは繁殖して子孫を残すために、様々なセンサーを備えている。動体視力が非常に優れていることを考えると、遭遇した場合、あまり急な動きをしないほうがいい。
不意に人間に出会ったクマはパニックになる
クマが人間を攻撃するのは、基本的に防御を主な目的にしている。子を守る、あるいは自分自身を守る、その場を早く去りたいといった行動をするために人間を攻撃する。不意に人間に出遭いパニックになってしまったクマは、自分の逃げ道すら見つけられないような状況になっていることも多い。そうしたクマは、目の前にいる人間を叩きのけてでも、逃げようとするわけである。
そうした場合、正体がよくわからない相手(人間)が激しく動いていれば、クマはこいつを何とかしなければいけないと考え、前足で激しく叩くなどの行動につながる。そういう意味で、やはり不意に遭遇した場合、クマの前で急な動きをせず、クマをパニックにさせないことがとても重要となる。
クマをパニックにしてはいけないのと同時に、自分もパニックになってはいけない。遭遇時の状況によって対応も違ってくるので、落ち着いて状況を把握し、自分の取るべき行動を冷静に判断しなくてはならない。
例えば、クマがこちらに気付いているのか気付いていないのか、目の前のクマは子連れの母グマか単独のクマか、怒っているか怒っていないか、どっちの方向へ逃げたがっているのか、こちらをどう気にしているのかなどによって、次に取るべき行動が変わってくる。いきなり遭遇したら、とにかく落ち着いてクマの様子を観察しなければならない。
