イデオロギーより実利
高市氏の人気を支えたものに、女性たちの絆があると述べた。それでは高市氏は、女性を応援するフェミニストであるかといえば、明らかにそれは違う。
そもそも多くのフェミニストたちは「高市だけは、首相にしてはならない」と、一大キャンペーンを張っていた。フェミニストたちは、いまもいちばん、高市氏の評価に厳しい集団のひとつである。
高市氏は、フェミニストのイデオロギーからはいちばん遠いひとだ。しかし私はそれこそが、彼女の人気の秘密なのではないかという気がしてならない。高市氏はイデオロギーよりも、徹底して実利性にこだわるひとであるように見える。
得るものがないから関心を持たない
昨年12月の国会で、高市氏は参政党の神谷宗幣代表の「男らしいとか女らしいという性差を認めるのは駄目か」という質問に対し、「(自分自身は)『女の子なんだから、こうしなさいよ』と言われながら育ってきた世代だ」と答えている。しかし「男らしく、女らしくという価値観に賛同するか」という質問には、「ものすごく申し上げにくい」と述べ、真っ向からは答えなかった。そのようなイデオロギー闘争をしても、なんの得もないからだ。
多くの歴代首相が土俵に上がって総理大臣杯を授与してきた大相撲では、土俵に女性が上がれない「女人禁制」の伝統を尊重するとして見送った。土俵に上がることで、「女性差別に反対する」という主張をしてイデオロギー闘争に勝っても、自分になんの得もないからである。
選択的夫婦別姓制度の導入や、戸籍制度の変更には反対する。ある程度の通称使用が認められれば、生活に支障ないと考えているからではないか。
皇位継承権が男系男子に限定されている問題について、以前は男系男子を維持すべきと述べていたが、対応は麻生太郎氏に一任したままだ。国民の間には「女性天皇を」という声が根強い中で、それに反対しなければ以前からの強力な支持者に離れられてしまう。「この問題には深入りせず」という態度に、あまりに思い入れがなさそうに見えて、拍子抜けした。
高市氏は右翼的なイデオロギーをもっているといわれるが、これまでのやり取りをみれば、イデオロギー闘争にじつは関心がないのではないかとすら思う。自分の政権が揺らぐのであれば、靖国神社に参拝をすることも控える。ただし、靖国参拝によって国民の支持を大きく得られるのであれば、効果的に参拝しアピールするだろう。獲得するもののないイデオロギー闘争には、あまり関心がないようにみえる。
