「京都のキーマン」オオシマさんをさがせ

太陽が沈んで空はもう暗くなり、すでに街灯がともっていた。

佐伯健太郎『スティーブ・ジョブズ1.0の真実』(晶文社)
佐伯健太郎『スティーブ・ジョブズ1.0の真実』(晶文社)

すし岩のあと、もう1カ所寄って話を聞いてからホテルへ向かう途中、鴨川沿いを三条大橋方面へ歩きながら、僕はiPhoneで京都のタクシー業界の関係者を手当たりしだいに探しては、必死に問い合わせていた。

「オオシマさんという方をご存じありませんか?」

翌日には、東京に戻らなければならない。でも、記者の直感でわかる。オオシマさんにはきっと何かがある。なんとか手掛かりをつかみたい。電話をかけまくっていた。

同行したバディ(相棒)の荒木ディレクターが「オオシマさん、見つかるといいですね~」と、横から声をかけてくる。しばらくすると……。

「知ってますよー。つなぎましょうか?」

突然、オオシマさんを知っているという人につながった。

ジョブズが信頼したドライバーの「証言」

その人に教わった電話番号にかけると、やわらかい関西弁の男性が電話に出た。僕は手短に取材の趣旨を説明した。

「急なお願いで申し訳ありませんが、あす、お目にかかれませんか?」

ぶしつけなお願いにもかかわらず、その男性は快諾してくれた。

それが、ジョブズが信頼したドライバー、大島浩さんだった。

翌日、大島さんは車を運転して、僕らふたりをジョブズゆかりの場所に案内してくれた。

大島さんの話には“生身”のジョブズがいた。それは、至福の2時間だった。大島さんの口から、ジョブズのエピソードが出てくる、出てくる。やわらかい関西弁で話された数々のエピソードは、知られていないものばかりだった。

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