今度こそ「経済好循環」を実現できるか
アベノミクスの際には1本目の矢として「大胆な金融政策」が掲げられ、2本目の大幅な財政出動と共にデフレ脱却を目指した。量的緩和の金融政策によって円高が修正され、企業業績が上向いたほか、公共事業のカンフル注射もあって、デフレから脱却するかに見えた。だが、1本目と2本目の矢ではエンジンをかけるスターターの役割は担えても、本格的な経済成長には繋がらなかった。
海外投資家は3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」に期待し、日本株を大幅に買い越したが、「1丁目1番地」とされた規制改革は遅々として進まず、本格的な経済成長にはつながらなかった。アベノミクスは失敗だったと言われる所以だ。
高市氏は17の重点投資対象分野に政府主導で多額の財政を投入し、経済成長に火をつける、としている。それが企業の利益を増やし、賃金の上昇となって国民を潤し、それが消費を盛り上げて、さらに企業収益を押し上げる。安倍首相以降、歴代首相が言い続けてきた「経済好循環」を実現できるかどうかだ。
株価急騰の理由は「期待」だけではない
積極財政を掲げる高市氏が自民党総裁に選ばれて以降、株価が大幅に上昇している。総裁に就任した2025年10月4日の前日の日経平均株価の終値は4万5769円だった。その後、株価は急上昇を始め、10月27日には5万512円と終値で初めて5万円台に乗せた。
その後も株価は堅調で、特に解散総選挙が報じられた1月中旬以降は再び騰勢を強め、自民党圧勝という見通しが報じられると2月3日には5万4720円の史上最高値を付けた。総裁就任時を100とすると最高値を付けた2月3日は119.6。わずか4カ月で2割という凄まじい上昇である。
総選挙で高市自民党が圧勝すると、株高は勢いを増した。投票日翌日の2月9日には一時3000円高と急騰。翌10日も1286円高の5万7650円と連日の史上最高値更新となった。
こうした株価の急騰は「責任ある積極財政」によって停滞してきた経済が今度こそ成長軌道に乗るという期待が背景にあると見ることもできる。だが、それだけが理由ではない。過大な財政支出によって「円通貨の劣化」が進み、日本円建てで見た場合の資産価格が大きく上がっていると見ることもできるのだ。

