高市支持の若者は右傾化しているのではない

こうした若者の高い高市支持に対して、アメリカのメディアは一つの疑問を抱いている。

アメリカの若者は概して人種・ジェンダー平等や多様性を支持し、イデオロギー的にはリベラル寄りとされてきた。

一方、高市氏は選択的夫婦別姓や同性婚といった、進歩的な若者世代にとって重要な争点に関し、否定的な立場を示している。それにもかかわらず、なぜ若年層からこれほど強い支持を集めているのか。

前出のロイター記事では、「若い世代の間で保守的な考え方が強まっているようだ」という30代有権者の声も紹介されていた。

しかし、これに明確に異を唱えるのが、1月31日付の英ガーディアン紙の記事だ。

「過去の首相たちが注目を浴びるのは、国会で居眠りするなど、たいてい失態の場面だった。それに対して高市は、支持者たちから“日本が近年失っていた、新しい時代のリーダー像”を象徴する存在として受け取られている」と指摘する。

その上で同紙は、「移民や外国人居住者への不安が可視化されている以上、日本も右傾化しているように見えるかもしれない」と認めつつ、より深く見れば、答えは「経済」にある可能性が高いと分析する。

余裕を失った若者が「わかりやすさ」に引き寄せられている

日本の若い有権者を取り巻く生活環境は、年々厳しさを増している。賃金は伸び悩む一方で物価は上昇し、円安によって実質的な購買力は低下している。それにもかかわらず、税金や社会保険料の負担は増え続け、将来、自分たちが同じ水準の保障を受け取れるのかについて、強い不公平感と不信が広がっている。

こうした文脈の中で、「所得税の課税最低限の引き上げ」「手取りを増やす」という高市氏の経済メッセージは、若者に強く響いていると、ガーディアンは分析する。

だが、生活が苦しいからといって、その不満を「この人なら何とかしてくれそうだ」という感情に預けてしまっていいのかは、別の問題だ。人は余裕を失うほど、政策の細かい違いよりも、わかりやすく、強く、味方に見える人物に引き寄せられやすくなる。