デジタルに弱い高齢者が詐欺の餌食に

日本の総住宅数は約6504万戸で、うち約4000万戸は築20年以上だ(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)。住宅設備の耐用年数は一般的に10〜15年と言われており、それを過ぎるとどこかしら不具合が出てくる。

住宅に問題を抱えている人は高齢であることも多い。元々地域の困りごとを引き受けていた、昔ながらの業者も減少し、頼めるところがない。タウンページなどかつてのインフラも衰退している。デジタルに弱ければ、インターネットで調べることもできず、余計に「どうしていいかわからない」という状況が深刻になる。

詐欺被害も増えている。

消費者からの相談情報のデータベースであるPIO-NETを内閣府が調べた調査では、「暮らしのレスキューサービス」に関する相談件数は2020年以降急増し、増加傾向が続いている。

「年間約91万件の相談のうち、3割は高齢者のもの。『工事をしないと危険』と言って契約させる“点検商法”の被害者の約6割が高齢者というデータもある」(得永氏)

こうした日本の住宅が抱える課題をどう解決すれば良いか、そう考えている中で知ったのが、欧米で広く普及している「定額制ホームプロテクションサービス」だ。「この仕組みは必ず日本でも必要になる」と社内インキュベーションとして事業企画を立ち上げ、その後社内ベンチャーとして事業化した。

さらにホームプロテクションサービスを10カ国で展開するホームサーブ社(1993年英国で創業)と三菱商事の共同出資で、2019年にホームサーブを創業した。

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撮影=西田香織
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一番人気は「1カ月590円」の最安値プラン

グローバルでの過去の普及率は、全体の11〜16%。日本はまだ35万件で1%程度だが、日本は他国より「故障に備えたい」というマインドが高いとみている。そこで、他国より高い15〜20%の普及率を目指していきたいという。

では、誰もが不思議に思うであろう、590円という価格はどのようにして実現されているのだろうか。

実際には、プランは何通りかあり、590円というのは電気設備修理に特化したエコノミープランの一括払いを12カ月で割った料金だ。

そのほか、電気設備や国内メーカー製家庭用エアコンまで対象とするベーシックプラン(一括払い1万4520円/年)、さらに冷蔵庫や配線まで対象とするワイドプラン(一括払い1万7880円/年)などもあり、水まわりにもエコノミープランとベーシックプランが用意されている。地域によってはガス機器のサービスを提供しているところもある。

しかし得永氏によると、月額にして590円のエコノミープランをメインに売り出しており、契約の7割がこのプランだそうだ。