世界の舞台で“朝日”が昇る条件
箱根駅伝の5区で「シン・山の神」と呼ばれるヒーローになり、1カ月後にあたる今回のマラソンでも不調のなかで好走。黒田朝日が素晴らしいポテンシャルを持っているのは間違いない。
しかし、この先、世界と勝負できるかどうか。それは今後の取り組みにかかっている。2月のマラソンの好成績は、原監督ならではのコンディショニング術でここ12年間で9度の箱根駅伝Vを成し遂げている“青学メソッド”の延長ともいうべきものだからだ。
マラソンの日本学生歴代で、青学大勢はトップ10に黒田朝日(2時間6分05秒)、若林宏樹(2時間6分07秒)、横田俊吾(2時間7分47秒)、吉田祐也(2時間8分30)、白石光星(2時間8分42秒)の5人がランクインしている。
なお今回の黒田は昨年の若林とまったく同じスケジュール(箱根駅伝5区→都道府県駅伝3区→別府大分毎日マラソン)だった。おそらくマラソン練習も同じようなメニューで行ったはずだ。
「こんなんでマラソンを走れるかというほど練習の負荷は低いんですよ」と原監督は話しており、実業団選手のように40km走を何本もこなすようなトレーニングはしていない。それでも青学大には2時間6~8分台で走る選手がバンバン出ている。
ただし、国内では称賛を浴びる結果かもしれないが、本気で世界を目指すなら物足りない。別府大分毎日マラソンと同日に行われたドバイマラソンは初マラソンとなったN.メラク(エチオピア)が2時間4分00秒で優勝を飾っているからだ。別府大分の優勝タイムより2分49秒も速い。距離にして約1km差をつけられている計算になる。
別府大分で日本人トップに輝いた吉田祐也は昨年9月に開催された東京世界陸上に青学大勢として初めて日本代表に選ばれた。しかし、まったく通用しなかった。A・シンブ(タンザニア)が2時間9分48秒で制したレースで、吉田は2時間16分58秒の34位。「自分自身、練習をちゃんと積んできたなかで、あれだけの差がついた。どこを課題として埋めていくのか。いまいち分からない……」とこぼしていた。
今回の別府大分で世界との差は縮まったのだろうか。そして黒田は春から先輩・吉田と同じGMOインターネットグループの所属となる。
2028年のロス五輪については「狙えるものは狙っていきたい」と語った黒田。なお日本陸連はMGCファストパス設定記録(2時間3分59秒)を突破した記録最上位の選手1人を日本代表に内定することを発表している。
はたして原監督がEKIDENダイレクターを務めるGMOインターネットグループは2時間3分台で走るマラソンメソッドを確立できるのか。そして、そのメニューを黒田が故障なく、パーフェクトにこなすことができれば、今度は世界の舞台で〝朝日〟が昇るだろう。


