シナリオ2:自民・維新連立
第2のシナリオは、戦略的に最も現実味があるものである。それは、自民党が単独過半数には届かないものの、従来のパートナーである公明党を切り捨て、日本維新の会との連立、あるいは閣外協力を模索するケースだ。
吉村洋文氏率いる維新は、「改革保守」の代替案としての地位を確立している。彼らの狙いは、政府を「改革多数派」へと変貌させることにある。それは規制緩和、労働市場の流動化、そして旧来の自公モデルでは許されなかった強固な安全保障姿勢を意味する。イデオロギー的に公明党の平和主義よりも維新のタカ派に近い高市氏にとって、このシナリオは政治的に十分に生存可能だ。
戦略的に見れば、これは日本の安全保障ネットワークを制度化する上で最適な結果かもしれない。自民・維新ブロックは、ミニラテラル(少数国間)協力の深化により積極的になるだろう。
高市・吉村政権となれば、AUKUS(オーカス)の「ピラー2」への参加や、日米比のトライアド(3カ国枠組み)の公式化を強力に推進することが予想される。維新のマニフェストにある「能動的防衛」は、日本の反撃能力の運用化というニーズと完全に合致する。
ただし、両党には摩擦も生じるだろう。特に経済領域において。維新が求める「痛みを伴う改革」は、自民党の伝統的な支持基盤を揺るがしかねない。
シナリオ3:自公依存への回帰
第3のシナリオは、公明党との強制的な和解も考慮せねばならないケースだ。最近の報道では自公関係の冷え込みが伝えられるが、日本の「選挙マシン」の現実として、接戦区における創価学会の集票ネットワークは依然として不可欠だ。
高市氏が政権維持のために公明党に大きく依存せざるを得ない場合、日本は安倍・岸田時代を特徴づけた「アクセルとブレーキ」の力学に逆戻りすることになる。公明党は歴史的に、政策の角を丸め、防衛支出よりも家計支援を優先させる「安定装置」として機能してきた。
この協力関係が復活すれば、政策実施の進捗はのろのろしたものへと引き戻される。「新国家構造」は骨抜きにされ、台湾防衛枠組みの議論は「外交的対話」へと棚上げされるだろう。対外的には、これを「安定のシグナル」と歓迎する同盟国もあるかもしれない。
だが、より深い問いは、そのような安定が、安全保障環境の変化に追いつくために必要な「改革の加速」を犠牲にして得られるものなのか、ということだ。
公明党に制約された高市政権は、ワシントンがますます強く求める能動的サイバー防御や厳格な輸出管理といった経済安全保障法制の制定に苦慮することになる。「世界は前進しているのに、日本だけが現状維持」という政府になりかねない。
