退職金は「一括」が税制面で有利

「退職金って一括で受け取るのがいいの? 年金のように分割で受け取るほうが安心?」

迷う方も多いテーマです。退職金には次の3つの受け取り方があります。

(1)全額を一括で受け取る(退職一時金)
(2)全額を分割して受け取る(企業年金)
(3)一部を一括で、残りを分割で受け取る(一時金+年金・併用型)

なかには制度上、選択肢が限られる会社もありますが、選べる場合には税金面で有利な方法を知っておくことが大切です。

【退職一時金で受け取ると大きな節税効果が生まれる】

一時金で受け取る場合は所得税の計算において退職所得となります。その場合「退職所得控除」が適用され、さらにその控除を差し引いたあとの所得の2分の1の部分だけに税金がかけられるという優遇があります。控除額が大きいことと、課税される部分が半分になるのが大きなメリットです。

勤続40年なら控除額は2200万円(800万円+ 70 万円×[40-20]年)。2200万円以下の退職金なら所得税も住民税もゼロになります。このように、退職所得控除によって課税の対象となる所得が大きく圧縮され、場合によっては所得税がほぼゼロになります。高所得世帯にとっては、5%から45%の累進課税を避けられる一時金のメリットは大きく、手取りを最大化するなら一時金が基本といえます。

(退職所得控除の計算式)
退職所得=(退職金額-退職所得控除額)×1/2
勤続20年以下:40万円×勤続年数
勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

日本の通帳と高齢者用の杖
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

「年金型」は退職所得控除が使えない

【年金型は生活の安定性がメリット】

一方で年金で退職金を受け取ると所得税では「雑所得」扱いとなります。雑所得は給与などの他の収入と合算され総合課税され累進税率で課税されます。退職金のような大きな控除はありません。税金面では不利ですが、毎月の生活費を補うメリットがあるため、世帯のキャッシュフローを安定させやすいというメリットがあります。

公的年金と同様に「公的年金等控除」は受けられますが、一時金と同じような退職所得控除や2分の1の金額のみの課税といったものはありません。

支給パターンには以下のような種類があります。

・支給期間:5年、10年、15年、20年、終身など
・支給間隔:2カ月・3カ月に1回など
・保証期間:受給者が途中で亡くなったあとも遺族に一定額が支給されるケースが多い

【世帯で考えたいポイント】

退職金は個人に支給されますが、使い道は世帯と結びつけて考えましょう。

・住宅ローンの繰り上げ返済や教育費に充てるなら、一時金が有利
・配偶者の扶養や社会保険料への影響を考えるなら、分割受け取りの方が負担が少ないケースもある
・夫婦の退職時期がずれる場合、「誰の退職金をどう受け取るか」で世帯の収支計画が変わる
・併用型は柔軟性があるが、制度によって制限がある