「立つ」だけで決断が早まる

「このミーティング、なぜ、こんなに長いのだろう」。気づけばもう11時。議題は進捗確認だったはずなのに、いつの間にか話がそれている。「それでは、この件は来週また検討ということで」。

結局、重要な決定は先送り。こんな光景、覚えがありませんか? 会議が長引く理由は何でしょう。

多くの場合、「座っているから」です。椅子に深く腰を下ろしていると、脳は無意識に「今は考える時間だ」と判断します。発言は長くなり、議論は堂々巡りに。解決策は、意外なほど簡単。それは「立つ」ことです。

人は立つと脳が覚醒モードに入り、判断が早くなります。これは、姿勢を感じ取るセンサーがスイッチの役割を果たし、意識より先に脳の状態を切り替えるためです。下半身の筋肉が働くことで、血流が促進され、眠気が覚めて発想が冴えやすくなります。

さらに、「時間は有限だ」と感じやすくなります。立っている体への軽い負荷が、「長く続けられない」「早くまとめよう」という判断が無意識に働くのです。その結果、立って行う話し合いでは発言が短くまとまり、決断が早くなります。

Bluedornら(1999)の実験では、立って話すグループは座って行うより、平均34%早く結論に達し、決定の質には大きな差は見られなかったと報告されています。ただ、立つ効果は15~45分が目安です。ずっと立ちっぱなしは逆に疲労につながるため、短時間の話し合いや、座位と交互に切り替える使い方が効果的です。

立って会話をするビジネスマン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

“創造性を高める空間”の条件

さらに、姿勢や環境の違いは、思考や協力の質にも影響します。立って話す場面のほうが、創造的なアイデアが生まれやすく、参加者同士の協力も高まることが確認されています。

また、ほかの実験(Knight&Baer,2014)でも、非座位のワークスペースは情報の深い検討や協力行動を促進しやすいと報告されています。スタンディング会議を導入したチームでは、話し合いの時間だけでなく、空気そのものが変わったといいます。「だらだら感」が消え、時間意識や緊張感が全員に共有されるためです。

会議には、円形スタンディングテーブルを置くか、腰高の収納を話し合いの場に利用してみましょう。近くにはホワイトボードを。効果的なテーブルの置き場所は次のとおりです。

・普段座っている席や、日常動線から近いこと
・明るく、窓から景色が見える場所
・テーブルの周囲を自由に動けること
・開放感があること

椅子がないだけでなく、「気軽に行きたい」と思わせる場にすることがポイントです。