設計プロセスそのものにも問題があった。英建築業界誌アーキテクツ・ジャーナルによると、サウジ当局はAIを活用する方針に転換。以前はロンドンの建築事務所による専門的なコンサルティングを受けていたが、現在はこうした社外の専門家への発注を削減している。社内チームがAIに質問することでコンサルの代わりとし、設計プロセスの一部を省略している。

建築事務所スタジオDSの創設者ディバ・サラム氏は同誌に対し、「多くのプロジェクトがコンセプトから直接基礎工事へと飛び移り、空間設計や詳細設計の段階を省略している」と指摘。空間設計と詳細設計のステップはイギリス王立建築家協会による作業計画でも触れられており、「プロジェクトを成功させるためには不可欠だ」とサラム氏は強調する。

2022年11月12日、サウジアラビア王国リヤドで開催中の新展示会において、来場者が「ザ・ライン」プロジェクトの画像と模型を鑑賞している様子。
写真=ABACA PRESS/時事通信フォト
2022年11月12日、サウジアラビア王国リヤドで開催中の新展示会において、来場者が「ザ・ライン」プロジェクトの画像と模型を鑑賞している様子。

「大量調達でコスト抑制」の甘すぎた見通し

検査のAI化には、プロジェクト費用を抑制する意図がある。豪勢なイメージとともにデビューしたザ・ラインは、なぜコスト削減を迫られる窮地に陥ったのか。