※本稿は、RSK山陽放送特別番組「石破茂×小長啓一 未完の列島改造」(12月27日15時~16時放送、RSKラジオでは12月23日、30日6時30分~7時放送)の内容を再編集したものです。
少数与党で行う政権運営の苦労
――石破政権はわずか1年で終わりました。世間の声を聴くと、“石破らしさ”が出なかったという指摘について、石破さんはどう感じていますか?
【石破茂氏(以下敬称略)】それはもういろんな理由があって。私の足らざるところも多くありました。
衆議院で少数与党でしたよね。自民党と公明党さんを足しても過半数いかない。そうすると、このテーマは立憲民主党さん。この法律は国民民主党さん、この税制は維新の会の皆さん……って、一つ一つのテーマごとにどの党なら賛成してくれるだろうかということでもう調整に調整を重ねるわけです。
そこで「石破らしさ」なんて出したら、自民党の中で法律案が通らない。そもそも私自民党の中でも少数派だからね。ましてや国会が通るわけがない。自分としてやりたいことはいっぱいあった。だけど、内閣総理大臣として法律案、予算案きちっと予定通り成立させるというのは、やっぱり一番大事なことですよね。
高市首相の発言に感じたこと
――石破政権の後を受けた高市早苗総理についてはどうお感じでしょうか。国会で、台湾有事は集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になりうると答弁したことに、中国側が猛反発して日中関係の溝は深まっています。まず、この発言について石破さんはどうお感じでしょうか。
【石破】それは総理のご判断だからね。周りがあれこれ言うことじゃないが、歴代総理、安倍さんも菅さんも岸田さんも私も、具体的に「この場合にこういう法律が適用される可能性がありますよ」ってことは言わなかった。それは言わない。言う必要がない。言っても抑止力にも何にもなんないし、かえって警戒心を強めることにもなる。
だから、安全保障についてはなるべく具体的なことは言わない。しかしながら、淡々と着々と防衛力は整備する。田中角栄先生による日中国交回復、あるいはソ連のブレジネフとの会談のように、相手の懐に飛び込んで、本当の信頼関係を作る。安全保障はそれも必要だと思いますけどね。

