裾野が狭い政権支持率
では、支持率の構造を見てみましょう。
2025年11月22〜23日に行われた毎日新聞の全国世論調査では、現政権の支持率は65%でした。不支持率は23%。この「65%」という数字だけ見ると「十分高い」と感じる人も多いでしょう。
ただ、僕はこの数字を「表面的な“ご祝儀相場”」と捉えています。なぜかと言うと支持の土台、要するに“支持基盤”の安定性があまりにも弱いからです。
高市政権は、熱狂的な保守層の支持は強い。が、その数が少ない。10~20%の固い支持はあるでしょう。でも、政権維持に必要なのは30~40%です。そこに届かない。「とにかく高市早苗を応援する」層だけで、全体を支えるのは無理なんです。
裾野が狭い政策は、跳ねない。
裾野が狭い支持率は、回復しない。
これは歴代政権のデータを見れば明らかです。
狭い支持基盤の政権は、一度つまずくと立て直せません。“支える人”が少ないからです。さらに言うと、高市政権は党内の“敵”が多めであるのも否めません。派閥政治にケンカを売る構造なので、敵が減りません。となると、政権内部の調整コストが常に高くなる。
高市政権は“短距離ダッシュ型”
内部に敵。
外部に批判。
支持基盤は狭い。
この3点セットは、短命政権の典型的な特徴です。
ネット上では感情的に盛り上がる人が多いですが、実社会は違います。生活者は数字を見ています。財布を見ています。口座を見ています。派手な政治的演出を見てスッキリしても、レシートを見た瞬間に冷めます。
外交のパフォーマンスで拍手していた人たちが、数カ月後にこう言い始めます。
「最近きつくない?」
「なんか物価ばかり上がらない?」
「仕事減ってない?」
これは政権にとっては致命傷です。
冷静に見れば、現政権は“長距離走向き”ではなく、“短距離ダッシュ型”です。最初は勢いがありますが加速ができないとなれば、支持層が離れ、党内の不満が膨らみ、外交のしわ寄せが生活に出て、株価が下がり、期待がしぼみ、音もなく沈む。ちなみに戦後日本の首相の平均在任期間は、約720日(約1年11カ月)と言われています。だいたい2年弱で交代するのが“普通”ですが、高市政権はその半分も危ういでしょう。
そしてある日突然、ニュースになる。
短命政権のよくある終わり方です。


