「チャンポン飲み」について調べた研究

次にお酒の飲み方についてです。ビール→日本酒→ハイボールのように、異なる酒を次々と切り替えて飲む「チャンポン飲み」は二日酔いの原因だと言われます。ヨーロッパでも「ワインもビールもいいが、両方はダメ」といった格言があるそうです。

この格言を検証するための研究がドイツで行われました(※1)。健康な成人105人をランダムに「ビール→ワイン」「ワイン→ビール」「どちらか片方」を飲む3グループに分け、翌日の二日酔いの程度を評価しました。ランダムにグループ分けするのは、参加者の好み・体質・生活習慣などの個人差が結果に影響しないよう、くじ引きのように条件を割り振るための手続きです。

さらに1週間以上を開けて「ビール→ワイン」のグループは「ワイン→ビール」、「ワイン→ビール」グループは逆に「ビール→ワイン」という順番で飲み、同じように評価しました。同じ参加者を対照とすることで個人差の影響をできるだけ小さくすることができる「クロスオーバー」という方法です。

その結果、飲んだお酒の種類の組み合わせも、順番も、二日酔いの強さに影響しませんでした。チャンポン飲みを避けてもたくさん飲んだら二日酔いになるという面白みのない当たり前の結果ですが、研究の参加者はお酒を飲めて楽しかったでしょうね。

※1 Grape or grain but never the twain? A randomized controlled multiarm matched-triplet crossover trial of beer and wine - PubMed

飲酒中や飲酒後の水分摂取に効果はあるか

また、お酒を飲む合間に水分を摂取することは、二日酔い対策としてしばしばすすめられています。私も水分摂取は効果があると信じていましたが、研究によれば十分なエビデンスがあるとはいえないようです(※2)

ライムとソーダ
写真=iStock.com/bhofack2
※写真はイメージです

飲酒中あるいは飲酒直後の水分補給は、二日酔いを予防する効果があってもごくわずかで、二日酔いが始まってからの水分摂取は二日酔いの重症度とは関連がありませんでした。アルコール摂取が利尿を促進して脱水を起こしやすくするのは事実ですが、脱水は二日酔いの主因ではなく、アセトアルデヒドといった代謝産物、炎症反応や睡眠リズムの乱れといったいくつもある要因のひとつに過ぎないということでしょう。

とはいえ、脱水自体が有害なので、二日酔い予防とは関係なく、水分は補給しておいたほうがよいでしょう。お酒の代わりに水分を摂取することで総アルコール摂取量が減るという効果も期待できます。お茶やお水以外にも、最近ではノンアルコール飲料にもさまざまな種類のものがあり、これを活用しない手はありません。

※2 Alcohol hangover versus dehydration revisited: The effect of drinking water to prevent or alleviate the alcohol hangover - PubMed