持病のある人にとってサプリはハイリスク
このように二日酔い対策として挙げられる手段は数えきれないほど存在し、候補が一つに収束していないという状況そのものが、特定の方法だけを決定打として扱うには根拠不足であることを示しています。
とはいえ、これらの対策は比較的害が少ないので、個人が試すのはかまいません。重大な病気の場合は、民間療法を試して効かなかったときに取り返しがつきませんが、二日酔い対策ならいろいろ試してみて、自分に合うと主観的に思えるものを選んでもいいでしょう。もしかしたらプラセボ効果かもしれませんが、それでも二日酔いの不愉快な症状が軽くなればそれでいいんです。
ただし、慢性の肝臓病の方は注意が必要です。ごくまれですが、サプリメントで肝障害が起きることがあります。健康な人がたまに飲み会の前後に摂取するぐらいなら問題にならなくても、もともと肝臓の悪い方が続けて摂取すると問題になる場合があります。持病のある人が健康食品やサプリメントを摂取するときには、必ず事前に主治医に相談してください。
アメリカ国立衛生研究所が認めた予防方法
「そんな対策では物足りない。もっと決定的な二日酔いにならないための対策を知りたい」という方のために、とっておきの情報があります。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、「二日酔いの緩和法はインターネットやソーシャルメディアで数多く紹介されているが、科学的に効果が証明されたものはない」としつつ、二日酔いの唯一確実な対策を挙げています(※3)。
それは「飲み過ぎない、もしくは飲まないこと」です。身も蓋もありませんが、それだけ二日酔いに「魔法の薬」は存在しないことをあらわしています。
たとえ二日酔いにならなくても、過度な飲酒は体に負担をかけます。お酒を飲むとしても飲み過ぎず、適量を楽しみましょう。私は「将来にわたってお酒を長く楽しむためにも、今飲みすぎて体を壊すわけにはいかない」という理屈で酒量を控えるようにしています。具体的に守っているルールは以下の3点です。「二日酔いになるほどの量を飲まない」「週に2日は休肝日を設ける」「本当に美味しいと思える酒だけを飲み、惰性で飲まない」。
それではみなさん、よいお年と穏やかな朝を。
※3 NIH「Hangovers」

