優秀な長女が妻を亡くした父親のため強制退職

東京などに出ていく九州の女性も少なくない。しかし、それでも父親の世話をするため実家に連れ戻された若い女性が、ごく最近、この2025年にいたという報告もあった。

「実家を出て関東で社会人になってすぐに母親が急逝し、退職した子がいる。実家は九州で、父親は家事が全くできないうえに女が家事をするのは当たり前という典型的な九州男児で、妻が亡くなれば長女が父親の世話をするのは当たり前だと親戚連中にも言われ、泣く泣く退職を決意したらしい。就職の時も『長子なのに実家を出るのか』と責められたがなんとか説得して希望の仕事に就けたのに、半年足らずで連れ戻されるとは。『これがさす九か』と同僚たちと悲しんだのはつい数カ月前の話」

寄せられたコメントからは、令和の現在でも「女だから」と家事や育児を無制限にサブスク状態で押しつけられ、それなのに宴会では「女は下座」という扱いを受けている女性たちの不満と怒りがひしひしと伝わってきた。ふだんはそうでなくても、お正月や法事で親戚が集まると、そういった扱いになりがちのようだ。来たる年末年始の帰省が心配になる。

もちろん「九州でも、そんな風習が残っているのは一部だけ」「若い人はそうでもない。晩ご飯を作る男子もいる」「九州だけでなく、田舎はどこもそうだ」というコメントもあった。

義実家への帰省に対する男女の決定的な温度差

確かに九州に限らず帰省が億劫という女性は多い。2025年に実施された全国でのアンケート結果にも、妻たちがため込んでいる不満が表れている。

キャリアコーチング事業のミズカラが実施した「義実家と人生・キャリアへの向き合い方」の調査によると、「義実家に帰省することについてどう思うか?」との質問に対し、「楽しみ」と答えたのは夫が15%に対し、妻はわずか4%で、その差分は3.75倍。逆に「億劫に感じる」「行きたくない」というなどネガティブな感情を持つ妻は6割と男性の倍の割合だった。九州に限らず、義実家への帰省に抵抗がない妻はむしろ「少数派」なのだ。

【図表1】義実家に帰省することについてどう思いますか?
義実家への帰省が「億劫・行きたくない」の割合、女性は男性の2倍(出典=ミズカラ「義実家と人生・キャリアへの向き合い方」の調査)