悩み「なかなか覚えられない」

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「5分間反芻」。これは、最難関資格をクリアした荘司氏の独自の記憶法だ。小1時間の勉強後、休憩をはさむ前にその時間内に何を学んだかを目を閉じて頭の中で5分間、思い出す。また1時間勉強したら、再び5分間反芻する。その繰り返しが効果的だという。

「『何を覚えたんだっけ?』と自分に問いかけると、案外忘れています。すぐさまテキストを確認して、インプットし直します」(荘司氏)

篠原氏もやはり、復習の重要性を指摘する。7分間+7分間の計14分間学習した人と、7分間学習したあとに小テストを行った人とで成績を比べた実験では、2日後以降、後者のほうの点数が高くなったという。

「小テストで記憶を呼び出しているのです。ワーキングメモリ(作業記憶・短期記憶)を働かせると、覚えやすくなります」

大事なのは、勉強直後だけではない。ドイツの心理学者エビングハウスが提唱した「忘却曲線」理論によると、人は覚えたことを1時間後には56%忘れ、1日後には75%を忘れるという。つまり、忘れるのは当たり前だから復習は定期的に、ということ。では、どの程度行えばいいのか。

「記憶を定着させるには、本番の試験までの日数を6で割ったタイミングで復習するといいという実験があります。つまり残り日数が60日なら、60÷6で、10日後。まだ心配なら、残り50日÷6で、8日後あたりにもう1回……と地道に繰り返すのが最善の策です」(篠原氏)

勉強量と記憶定着量は正比例すると思いがちだが、実はそうではない。コツコツ継続していると、あるとき、爆発的にわかるようになる瞬間がやってくると篠原氏はいう。

「学習とは、脳神経のつながりを密にしていく作業。勉強し始めはまだスカスカの状態でつながりが悪く、学習効率も低い。ところが次第につながりが密になり、理解度が飛躍的に上がっていきます」

諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀
1960年、長野県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て、現在、諏訪東京理科大学共通教育センター教授、東京理科大総合研究機構併任教授。専門は応用健康科学、脳神経科学。著書に『勉強にハマる脳の作り方』など。

弁護士 荘司雅彦
1958年、三重県生まれ。東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行、野村証券投資信託を経て、司法試験合格。91年、弁護士登録。著書に『最短で結果が出る最強の勉強法』、娘の中学受験をテーマにした『中学受験BIBLE』など。

立正大学心理学部特任講師 内藤誼人
慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、立正大学心理学部特任講師、有限会社アンギルド代表。実践的なビジネス心理学の第一人者として活躍。『すごい! 勉強法』『不安があなたを強くする』など著書は200冊超。
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