すぐに気が散る、3日坊主で終わる、覚えられない……。9つの悩みについて、4人の達人が科学的かつ実践的に解決する。

悩み「すぐに気が散る」

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勉強に関係のないものは机の上に置かない。そう語るのはビジネス心理学の第一人者で立正大学特任講師の内藤誼人氏だ。

「携帯電話やパソコンの電源も落としましょう。違う科目のテキストも置いてはいけません」

こうした対策を「環境コントロール法」という。自分の周りを整理し、思考や行動を制御する方法だ。勉強するときは、邪魔するすべての誘惑をあらかじめ遮断しておこう。

やる気を高めるために、「絶対合格!」などと書いた紙を机に貼った経験がある人も多いだろう。これは邪魔にならないのか。諏訪東京理科大学の教授で脳科学者の篠原菊紀氏は「スローガンの刷り込み効果で、効率アップも期待できる」と言う。

「常に目に入る場所では集中を殺いでしまいますが、視野角から外れた場所に貼ればたまに目に入り、サブリミナル効果が表れます」

ある科学誌の報告では、握力を測る際、直前にモニターに映った「頑張れ」という言葉を見た人のほうが、数値が約1.5倍高かったという。

気が散る原因を取り除き、勉強に集中しようとしても、妻や子供が足枷になるという人もいるだろう。内藤氏は、人に邪魔をされない部屋を確保することが重要だという。

「自宅に個室がないなら、図書館を利用してもいいと思います。カール・マルクスは大英博物館に通いつめて『資本論』を書いたといわれています。僕も大学院生時代、しんとした図書館の地下5階で、論文を読みふけっていました」(内藤氏)

篠原氏も図書館での勉強をすすめる。そこで学習することで、「ミラーニューロン効果」が働くという。

「図書館には、志を持って勉強に励む人が多い。それを見ると、まるで自分も集中して学んでいるような脳の活動になり、やる気を持続させることができるのです」