職場は仕事をする場所である。そして、競合や国際競争に打ち勝つことが求められる。嫌われないことよりも仕事で成果を挙げることのほうが重要なはずだ。しかし、「目立つ」=「空気が読めない」だと捉え、出世意欲を示さない会社員が増えているのが現状だ。
ユニクロやソフトバンクのように、同業他社から忌み嫌われるぐらい尖鋭的で野心的な会社は少ない。かつては尖っていたソニーもごく普通の大企業になってしまった。このような日本の企業社会の停滞状況が個人の意識にも如実に表れている。
Q3と4でも、同僚に対して「いろいろと気を使うことが多い」「本音で付き合えないと感じる」という回答が目立った。職場の一体感や情熱が失われつつあることが見てとれる。
「女性蔑視的だ」「職場は男社会だ」という項目には男女で20ポイントもの差が開いた(Q3)。冷遇されているほうがこうした問題に敏感になるのは当然であり、女性の回答のほうが現実に近いのだろう。すると、6割近くの職場が女性蔑視的で、約8割の職場は男社会という悲惨な状況が浮き彫りになる。実際、女性の66%が「職場において性別による不平等を感じている」(Q4)。
ただし、この状況下で女同士の連帯が生まれるとは限らない。例えば「女性社員と話が合わないと思うことが多い」という項目に、男性より女性のほうが多くのチェックを入れた(Q3)。
他の項目に関しても、職場の女性に対して「頭が悪いと思うことがある」や「仕事に対する覚悟が足りない」にいたっては女性が男性を約10ポイントも上回っている。女性に対する女性の目線は鋭く厳しいのだ。
八方塞がりの現状を反映して、女性のキャリア意識も停滞していると言わざるをえない。「出世では負けたくない」と同性の社員に感じる女性は3割に満たず、「職場に女性管理職が増えてほしい」と思う女性も5割しかいない。切磋琢磨するのではなく、女性の「出る杭」を女性が打つような雰囲気が職場に漂っている様子が想像できる。