※本稿は、奥田順之『自分の死後も愛犬・愛猫を幸せにする方法』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
「1週間放置」は命にかかわる
「患者さんの犬が、無人の家に取り残されています。もう1週間になります。どうにかなりませんか? ミニチュアダックスフントです」
2025年3月、関西の大学病院の病棟看護師さんから電話がありました。応対した私に緊張が走ります。春なので水さえあれば、生存の可能性は十分ありますが、1週間もの放置は命に関わります。それにしても、ほかに相談できる場所はなかったのかという疑問が浮かびました。当団体の所在地は岐阜県、現場は関西です。
「動物愛護センターには相談しました。でも、犬を連れてきてもらえるなら引き取るけれど、引き取りに行くことはできないと言われました。保護の費用は飼い主である患者さんがなんとかできるそうです。お願いできませんか?」
行政は、基本的に法令で定められた業務しか行うことができません。飼い主の家に引き取りに行くということは、業務の範囲外になってしまうため、たとえ放置すれば死んでしまうことが明らかな動物がいても例外的に動くことはできないということなのでしょう。
愛護センター側も、飼い主宅に訪問して引き取ることが、業務として定められていなければ、職員の一存で動くことはできません。そこに勤める職員の皆さんも、きっと悔しい思いをすることも多いのではないかと思います。
「わかりました。すでに間に合わないかもしれませんが、可能性を信じて、当団体でできる限りの対応をします」
自分の糞尿にまみれたダックスフント
とはいえ、私自身すぐに関西へ向かえる状態ではありませんでした。そこでまず、ペット後見事業者勉強会でお世話になっている関西のペットシッターさんに連絡。緊急対応をお願いできるか相談しました。
「1週間も放置されているんですか。今すぐ向かわなければなりませんね」
心強い言葉をいただき、すぐに飼い主さんの入院する大学病院に直行してもらいました。そこで鍵を受け取り、ご自宅へ。最悪の事態も想像しながら中に入ると、そこにミニチュアダックスフントのアミちゃんが糞尿にまみれた状態でいたのでした。
「アミちゃん、1週間もひとりだったのに、元気があって食欲もありました。良かったです。今回は、お水とゴハンを替えて、ある程度綺麗にしたものの、可能な限り早く、場所を移動させるべきです。岐阜からはいつ来られますか?」
「明日、何とか向かうことができます。昼には保護できるかと」

