悩み「何から手をつけていいかわからない」
脳科学者の篠原氏、心理学者の内藤氏、元金融マンで弁護士の荘司雅彦氏は口を揃えて、「迷う前に始めてしまえ」と言う。
「何でもいいから、まず始めることが重要です。そうすると、脳の奥にある大脳基底核のひとつで、やる気に関連する線条体という部位が勝手に発火して動きだします。これを『作業性興奮』といい、次第に勉強が快感に変わっていきます」(篠原氏)
それでも最初の1歩が踏み出せないなら、まずは簡単なもの、得意なものから始めよう。内藤氏は「スモールステップ」という心理学用語で説明する。
カウンセリングの現場では、1人で電車に乗ると不安発作を起こす人に対し、まず友人と2人で乗る→電車に乗らず改札口まで1人で行く→電車に乗らず1人でホームに立つ→……と段階目標(スモールステップ)をクリアして、1人で電車に乗れるようにする治療法をとることが多いという。それと同じように、まずは勉強に体を慣らすことがスタート期の重要な心がけだ。
「受験生でいえば、英単語や漢字の書き取り。ビジネスマンでも百ます計算のようなハードルの低いものに取り組むうちに、エンジンが温まっていきます」(内藤氏)
やるべきことがたくさんあって、焦りばかりが募っていくという悩みもあるだろう。その場合、「TO DOリストを作成して頭の整理をすることが有効」(篠原氏)。思い浮かぶ項目を個条書きし、勉強の内容を大きく3つぐらいにグルーピングしていく。そうすることで、やるべきことの全体像や優先順位を冷静に判断することができるはずだ。