小宮一慶が出題、あなたは何問答えられるか──数字に対するセンスを磨くことはいまやサラリーマンにとって必須の条件だ。それは、経済成長が頭打ちとなったこととも無縁ではない。お金や予算の伸びが限られているなか、買うべきか、買わざるべきか。投資すべきか、やめるべきか。そして日本経済はどこへ向かうのか。7つの問題を考えることによりあなたの数字センスをアップさせよう。

数字の裏付けがなければ情熱が通じるとは限らない

もしも私が2人の部下から新規事業に関するプレゼンテーションを受けたとして、即座に却下するのはいったいどちらのプレゼンテーションだと読者はお考えになるだろうか。

A君「この新規事業は確実に成功します!」

B君「この新規事業の成功率は6割です」

文字面を眺めるとA君は自信たっぷりでいかにも威勢がいいのだが、私だったら100%、A君のプレゼンテーションを却下するだろう。なぜなら、確実に成功する事業などありえないからだ。アップサイドのリターンがどの程度見込めて、ダウンサイドのリクスがどの程度あるのか。その数字を可能な限り厳密に積み上げたプレゼンテーションでなければ、危なっかしくてとうていGOサインを出すことなどできない。数字的な裏付けを欠いたプレゼンにGOサインを出すのは、会社の金を使って博打を打つのと同じことである。

情熱は必要条件だが、数字的裏付けが十分条件だ。

私の知る限り、優れた経営者は間違いなく数字的センスに優れている。特に自社に関する数字には過敏と言ってもいいほど、神経を使っている。

反対に、ダメな経営者ほど数字に鷹揚であり、ついでに言えば見栄っ張りである場合が多い。そして、大ざっぱで見栄っ張りな人物が社長に就任すると、往々にして経営がうまくいかなくなるものである。逆に言えば、数字的裏付けを持たない企画書を書いて、熱意や情熱だけでそれが通ってしまうような会社だったら、早めに転職を考えたほうがいいということである。

以下、数字的なセンスを磨くためのケーススタディをいくつかやってみることにしたい。プレゼンテーションには間違いなく数字的な裏付けが必要だが、時に数字は嘘をつき、むしろ事実を見えなくしてしまう場合すらある。読者はどれだけ数字のマジックを見破り、数字を味方につけることができるだろうか。