法律は変わっても差別意識は変わらず

こうした要望を受けて、司法省は戸籍の謄抄本における「平民」の族称記載を廃止したが、戸籍の原本や除籍簿にはその記載が残ったわけである。

さらにいえば、法制度が変わっても、社会における慣習というのはそうたやすく消えるものではない。役所への提出書類をはじめ、履歴書や宿帳といった私文書においても族称を記載させる慣例は容易になくならなかったのである。

戦後になり、身分差別を否定する新憲法の下で華族制度も廃止されたことにより、族称を記載すべき根拠はなくなった。ここにおいて、封建的な身分序列の遺産である族称は諸般の公私文書から姿を消すこととなった。だが、それで社会における差別が解消されたわけではないのはいうまでもない。