年の差婚では、何に気を付けておいたらいいのか。離婚や男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「結婚生活は、相手の家族の問題を避けて通ることはできない。特に年の差婚は、相手の親が、自分の祖父母世代かもしれないという視点を持っておく必要がある」という――。
※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。
「若くておしゃれな60代男性」と結婚した30歳女性
A子さん(30歳・会社員)は、60代の男性と結婚しました。
夫とは、行きつけの飲み屋で知り合いました。最初の妻とは死別していて子どももなく、しばらく独身だったそうです。見た目は若くておしゃれで、A子さんとは映画という共通の趣味があって、話も弾みました。
飲み仲間として接するうちに、一緒に映画を見に行くようになり、さらに交際に発展して、気がつけば半年ほどで結婚を決めていました。
飲み屋の常連仲間からは祝福されましたが、職場の同僚や学生時代の友達からは、「親子みたいに年上の人と結婚して大丈夫?」「介護になったら大変そうじゃない?」と心配されました。
「年の差はあるけど、本人は若くて健康だし、介護とかはまだまだ先の話でしょ」と言っていたA子さんでしたが、結婚して一緒に暮らすようになるとすぐに、現実の重さを痛感することになりました。
突然「親父の面倒見に行って」
結婚するとすぐに、夫はさらりと言いました。
「少し仕事セーブして、親父の面倒見に行ってやってくれない? 週2、3回でいいから」
A子さんは驚きました。夫の母は3年前に亡くなっています。父は存命でしたが、すでに80代後半で、高齢だからということで結婚前にも特に挨拶をしていませんでした。
義父はてっきり老人ホームに入っていると思っていたのですが、話を聞くと、近くに一人で住んでいるそうです。かなり認知症が進んでいて、身の回りの世話が必要な状態で、夫がたまに面倒を見ていたと聞かされました。
そのことを初めて知り、「私が介護するってことなの?」と思わず言いましたが、夫は「親の介護は嫁がやるものだろう」と言って、まったく取り合いません。

