正しかった豊田章男会長の未来予測

コロナ禍だった2021年のことになるが、EUの執行部局、欧州委員会は「EUでは2035年以降の新車登録をゼロエミッション車(走行時に二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない車両)に限定する」と発表した。以降、世界中でEV偏重が始まったのだが、トヨタ社長(当時 現会長)の豊田章男は一貫して「敵は炭素で内燃機関(エンジン)ではない」「お客さまには多様な選択肢を用意する」と言い続けた。2024年からEVの需要は鈍化し、EUや世界の大手自動車メーカーはEV偏重だった方針を転換し、ハイブリッド車を用意し始めた。

時代は右から左へとスイングしたのである。ここで、大切なのは豊田章男は今も「多様な選択肢を用意する」と言っていることだ。これだけハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の需要が高まっていても、「ハイブリッドに専念する」なんてことは言わない。巧みな戦略をとっている。