仕事ができる人はどんな工夫をしているのか。『サボ力』(ザメディアジョン)を書いた業務改善コンサルタントの谷川輝さんは「ホリエモンの『仕事ができる人はメールを即レスしている』という主張が注目を集めたことがある。安易に真似をすると返って仕事の効率が悪くなるので注意してほしい」という――。(第1回)
ノートパソコンを操作するビジネスマン、電子メールと警告アイコン
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業務改善の基本は「他社の真似」ではない

業務が非効率なまま低迷している会社や、仕事のできない社員にはさまざまな特徴があります。一方で、社員はほとんど残業していないのに業績が好調な会社や、一見すると暇そうに見えるのに、誰よりも業務量をこなしている「暇そうなのに仕事がデキる人」もいます。

両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

私は業務改善コンサルタントとして多くの企業を見てきましたが、改善されていない状況で危機意識を持っている社員は少数派です。大多数の職場では「自分たちはうまくやっている」と思い込んでいるのが現実です。

一方で、経営層や管理職の方々からは「本当にこれでいいんだろうか」と、漠然とした違和感を持っているというご相談をいただくことが多々あります。具体的に「ここが悪い」「ここを直すべき」という明確な課題があるわけではなく、なんとなく不安感があるという状態ですね。

ただ、この状態で多くの企業が陥ってしまうのが、他社の「先行事例」を真似てしまうことです。「いまは上手くいっていないけど、あの会社みたいにやれば上手くいく」というアプローチから始めると、うまくいかないケースが圧倒的に多いんです。

例えば、打ち合わせの際に経営層から「先週のカンブリア宮殿で見た会社のようになりたい」みたいなことを言われることもありますが、その場合は遠回しに「いったん落ち着きましょう」というメッセージを伝えます。

なぜなら、業界や事業の性質、従業員や売り上げの規模、会社の成り立ちなどが似ていなければ、その「先行事例」を真似ても意味がないからです。総合的に考えて環境的に似ても似つかない場合は、無理だということをはっきりとお伝えします。

これは体形管理に例えるとわかりやすいかもしれません。つまり、体脂肪率が40%を超えている人が、急にボディビルダーの写真を持ってきて「3カ月でこれにしてくれ」と言っても無理な話です。まずはご飯の大盛りをやめる、夜9時以降の食事をやめる、そういう基本的なところから始めないと実体が伴いません。