7月21日の参院選後、各メディアでネット上の選挙運動に関する検証が行われているが、「出口調査では、ネット情報を参考にしたと答えた人は11%。20歳代でも24%」(8月4日付読売新聞)、あるいは全体の投票率も前回より低下し、若者の投票行動にも大した影響を与えなかった、とする意見が大勢だ。
しかし、大きく変わった点もある。候補者の人間性や素顔、性格がより透けて見えるようになったことだ。
端的にわかるのが、落選後の候補者の態度である。手掛かりは、選挙後も433人全候補者のSNSデータを収集し、ランキング化するスマホアプリだ。ここでの総合1位が田宮嘉一氏(新党大地・比例)。「落選で生活面で厳しい状況が続くが、被災地支援、農業の復興活動を続ける」「参院選の総括をブログにあげた」等のメッセージを発信、街頭に立つ田宮氏に「継続は力」「ゼロスタート、応援している」と書き込みが続く。
一方、344票差で落選した元東京地検特捜部出身の若狭勝氏(自民・比例)は、7月28日を最後にフェイスブック、ツイッターの更新がない。27日には、選挙期間中に「髭を剃ったら1票入れる」と多くの人に言われたことに言及、気分転換に髭を剃った後、「これで344票差を上回ったのでは」と未練の一言。いいね!の数では433人中33位と有権者の反応はよかったのに、同140位という若狭氏自身の投稿数が物足りない。
ネット活用で存在感を示したのが、総合3位・投稿数1位の三宅洋平氏(緑の党・比例)だ。「三宅さんのような意志のある人を政治家に」「我々が支えていこう」とネットには今でも支持者からの声が溢れている。個人名の得票数で見ると比例候補者162人中1位。この点でSNSランキングとズレは少ない。しかし緑の党の総得票が議席獲得ラインに届かず落選した。2万6000票で当選の新妻秀規氏(比例・公明)の7倍近い票を得ているにもかかわらずだ。今でもネットで「民意が正しく反映されていない」「非拘束名簿式という選挙制度がおかしい」と批判が集まっている。ネット選挙を有権者のものにするためにも、制度の見直しが必要ではないか。