朝ドラとは違う、実際の辻社長との出会い
やなせたかしの自伝『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)によると、辻との出会いは、1965年6月。やなせはミュージカルの舞台装置、「手のひらを太陽に」の作詞のヒット、NHK「まんが学校」の先生役での出演など、多岐にわたる仕事で多忙を極める中、持病の腎臓結石が再発。自信喪失に陥っていた頃、「みわ工房」の三輪宏氏という男性が訪ねてきて、「陶器」に絵や詩を描く仕事を依頼される。その後、円筒状のボール紙に絵や詩を描くチャイムが大ヒットするが、本業はふるわず、心は晴れない状態が続いていた。
一方で、ラジオドラマ用に作っていた自作の詩がたまり、自費出版を考えるやなせが、陶器展で名刺交換をしたのが、当時社員6人程度の「山梨シルクセンター」の辻信太郎社長だった。同書でやなせは次のように振り返っている。
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