大学までの「教育無償化」こそが、少子化対策の切り札だ!

▼相談

ズバリ出生率を2人以上にするためにはどうすればいいでしょうか。なぜ政府がこれまで効果的な対策を打つことができなかったのかも含めてご意見たまわりたいです。

▼回答

少子化対策で、ちまちましたいろんな政策をやっても全く効きません。それは今までの政策が証明しています。「国は本気で少子化問題解決する気があるの?」って、みんな思ってるでしょ。

子どもを産むネックになってるのは、やっぱり教育費ですよ。ここは日本人の美徳ですが、親は子どもの教育費のために自分を犠牲にしてでも、お金を出そうとします。子どもを労働力と見なすなんてことはしない。でもその反面、教育費が出せないから、子どもを産み控えるっていう現象が出てきちゃってる。

これはもう、教育の無償化を成し遂げて、子どもが生まれてから大学卒業するまでは完全無償にすべきでしょう。教育費に占める私的負担率が日本は異常に高いから、公的支出をもっと増やして私的支出を減らしてあげる。ご存じのように、大阪府では私立の高校も無償化しました。それから税制でも子どもが増えれば増えるほど、税額が減っていくようにすべき。

しかもフランスのように、子どもが多くなるにつれて、税額が減るだけじゃなくって、助成制度も増えるのが理想です。フランスは、2人目までは日本と大差ないけど、3人目以降になってくると、税額が減ることも含めて子どもが成人するまでの間に3900万円ほどの助成を受けることができる。子どもが増えればこの額はどんどん増える。つまり、子どもを増やせばすごい裕福になるわけですよね。この方向性しかないと思います。

日本だって、やろうと思えばフランスみたいにやれます。じゃあお金どうするんだという意見は当然出てくる。大学までの教育を無償化すると、大体5兆円かかるといわれてます。でも、公務員の人件費を2割削減すれば、5兆円なんかすぐ出せるんです。今は国と地方合わせて、公務員の人件費は大体25兆から26兆円ぐらい。一律に削減しろとは言いませんけども、給与が高すぎて、仕事に見合ってない公務員もいるわけで、そういうとこを削っていけば、可能なはずなんです。

「子どもを産んでください。そのかわり、大学までの教育費は全部国が面倒見ますから」と言えば、これは相当インパクトでかい。

これって景気対策にもなるんですよね。「消費を喚起しなきゃいけない」って政治家はみんな言うけど、今の日本だと景気刺激策と言えば、公共工事になっちゃうじゃないですか。やっぱりそれじゃだめでしょ。

一番お金を使うのは現役世代。教育無償化は現役世代の可処分所得を増やすことになりますから、増えた可処分所得が消費に回る可能性が出てくる。くだらない補正予算なんかやめて、教育の無償化ってこと、ドーンと打ち出せば、少子化対策としてのすごい強烈なメッセージになって効果は必ず出ますよ。さらに消費が増えて景気対策にもなる。

奨学金の拡充とか、ちまちましたことじゃなくて、政治が旗を振って教育の無償化をやってもらいたいものです。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.9のダイジェスト版です。

(撮影=市来朋久)
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