7月10日に投開票が行われた第24回参議院選挙の結果、衆参両院で自民・公明両党、おおさか維新の会などの改憲勢力が改憲発議の可能な「3分の2」を上回ることが確実となった。この選挙結果を受けて、橋下徹氏がズバリ直言する。

反対意見全否定、人格攻撃……。国民は自称インテリのインチキさに気づいている!

憲法改正反対派には、いわゆる自称インテリが多い。口だけできれいごと、かっこいいことを言う連中。国民は、もうこういう連中には付いて行かない。国民の教育レベルが上がったということで、非常に良いことだ。戦後間もないころは、まだ大学に進学できる者が限られていた。だから大学卒と聞いただけで、国民の多くも、そういう学のある人が言っているんだからそれが正しいんだろうね、と感じていた。

それが今の時代は異なる。国民の多くが大学に進学し、大学に進学しなくても情報は溢れているので、一部の自称インテリが偉そうにできなくなった。むしろ自称インテリのインチキさに皆気付き始めてきた。彼ら自称インテリは、自分たちの考えこそが絶対的に正しくて、それに反する者は全て間違っている、教養がない、感情的な非合理な人間だ、と決めつけているということを。そして自分たちの考えこそが絶対的に正しいということを屁理屈をこねて主張するもんだから、単純な論理矛盾を冒しているということを……国民の多くは直感で分かっちゃったんだよね。

たとえば、憲法改正反対派、安倍政権反対派の多くは、「民主主義は丁寧な話し合いで解決策を見つけること。敵を作るのではなく、敵と共生する反対者とともに統治するのが民主主義の本道で野党共闘は民主主義の本道だ」と言っている。

ところが、彼らは国会で圧倒的多数を取っている安倍政権と話し合う気はさらさらない。自分たちの考えと異なる安倍政権は退場せよ、と言う。丁寧な話合いをする気など全くない。そして敵と共生する、反対者とともに統治すると言いながら、安倍政権と共生する気はさらさらないし、一緒に統治する気もさらさらない。

結局、自分たちと同じ考えのものとだけ共生し、一緒に統治すると言っているに過ぎないんだよね。彼ら憲法改正反対派に多い自称インテリは、自分たちと異なる意見に対しては全否定するだけでなく、人格攻撃をすることも共通点。僕は人格攻撃には人格攻撃で返すけど、こちらから人格攻撃をすることはないね。

自称インテリは普段は話し合え!! 国民の意思を聞け!! と言うけど、自分たちと異なる意見の場合には話し合わずに全否定、そして自分と異なる意見について多くの国民が支持していることもポピュリズムとして全否定。

それと、普段は国民を二分するな!! と言っておきながら、市民を二つに分けちゃった。安保法制反対、憲法改正反対の市民だけを正義の市民として、それ以外の市民を悪の市民と位置付けているみたいだ。SEALDs(シールズ)を中心とする市民団体だけが、市民と言わんばかりに。だから自分たちだけが市民と一緒に闘っていると主張しているけど、改憲派だって市民の支持を得なければ議席を増やすことなどできない。

僕の認識だと、SEALDsを中心とする市民団体は、全有権者の中のごくごく一部だという認識だね。全く多くの国民の意思を反映していない。それが今回の選挙結果ではっきりしたんじゃないかな。

民主政治は、どのような政党であっても市民とともに闘わないと議席を得られない。にもかかわらず、安倍政権や改憲勢力に与する有権者は「市民じゃない」と言わんばかりの主張。我こそが市民であり、我こそが市民とともに闘う政党だと。多くの国民はこんなバカらしい主張には付いていかないよ。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.14(7月12日配信)の一部です。

(撮影=市来朋久)
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