「売上高5兆円」という前人未踏のエベレスト

【弘兼】2014年11月の「画業40周年を祝う会」では、スピーチを引き受けてくださり、ありがとうございました。柳井さんが登壇されるのは珍しいと、みんな驚いていました。

ファーストリテイリング会長兼社長 柳井 正(やない・ただし)
1949年、山口県生まれ。71年早稲田大学政治経済学部卒業、ジャスコ(現イオン)に入社。72年父親の経営する小郡商事へ。84年社長に就任。同年6月「ユニクロ」の1号店を広島市に出店。91年社名をファーストリテイリングに変更。2005年より現職。

【柳井】弘兼先生の作品は大好きです。同じ山口県の出身でもありますし、ご依頼は断れませんよ。

【弘兼】柳井さんは卓越した経営者ですが、パーティや会食などには消極的なので、人柄も誤解されがちです。誤解を解くためにも、まずは聞きづらいことから。最近は「ブラック企業」との批判を受けていますよね。

【柳井】我々は「ブラック企業」ではないと思っています。創業間もないころには、長時間の残業をすることもあったかもしれません。また商品整理をしながら眠り込んだという話もあったでしょう。でも、上場以来、そのようなことのないように指示を出し続けてきました。特にこの10年ぐらいで、働き方は180度変わったと思います。

もしかすると社員の中には昔の習慣を引き継いでいる人がまだいるかもしれません。徹底できていない面があれば正します。その意味では、現状は「限りなくホワイトに近いグレー企業」ではないでしょうか。

悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど。会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね。

【弘兼】いまは僕たちの時代とは労働に対する考え方が違うような気がします。いまの規準で言うならば、僕らの若いころはかなりの企業が「ブラック企業」でしたね。まあ、漫画業界では、追い詰められたときには徹夜が当たり前ですから、僕なんかもいまだにブラックですね(笑)。