1週間前

さて、商品の骨格そのものは発売3カ月前にはほぼ固まっていた。味やパッケージはもちろん、宣伝や販売促進の計画も着々と進んでいた。そのなかで酒巻さんは、発売当日(11年10月4日)に向けて最後の詰めに余念がなかった。

「ひととおりの準備は済んでいましたが、まだまだ完璧ではありません。モニターキャンペーンを実施するほか、小売店を回るとか社内で模擬陳列をすることで、売り場づくりのヒントを探しました」

たとえば、こういうことだ。

この時期には販促用のPOPなども、ひとそろい手配が済んでいる。しかし店頭を眺め、模擬陳列をし、モニターからの声を検討するなかでいくつかのアイデアが浮かんできた。一例をあげると、飲んでくれた人の生の声を書き入れた小さなPOPだ。これはすぐに発注し、発売日までに全国の営業拠点に配備した。

1週間前。酒巻さんの目はすでに「発売後」を見据えている。視野にあるのは、たとえば当初の想定にはなかった新しい飲用シーンを発見することだ。その間にも、各地の営業拠点から売り場の情報が刻々と入ってくる。データを前に、売り場設計の微修正を重ねていく。