統合失調症は考慮されず、刑事被告人に

福祉の支援──。確かに前回の面談時、最後になって、ようやくその言葉が聞かれた。だがそれも、誘導尋問に近かったように思う。はじめのうちはずっと、自分は皇室の人間だから大丈夫、と言い張っていたのだが……。いずれにせよ、重い統合失調症を患っていることは明らかだった。

服役前の彼は、路上生活を送っていたという。最初に捕まったのは、置き引きによってだ。この時、精神鑑定は行なわれず、当たり前のように刑事被告人となった。刑事責任能力が問われることはなかったのである。裁判では、初犯であり、かつ被害が軽微であったため、執行猶予を付した判決が下される。

ところが、釈放後すぐだった。公園で女子中学生に話しかけたところ、即座に、不審者として警察に通報される。たぶん彼は、パニック状態になったのだろう。駆けつけた警官を前に暴れだしてしまい、「公務執行妨害罪」での現行犯逮捕となる。