国が新NISAを押せば押すほど、疑心暗鬼になる気持ちもわかります。ですが、その間にHさんはプラス110万円もの利益が。言い換えれば、今、新NISAを始めていない人は、この数年で110万円儲け損ねたことになるのです。
加えて、今は、まだ110万円の差ですが、10年後20年後には、もっともっと差が開きます。時間が過ぎれば過ぎるほど、儲け損ねたお金は増えていってしまいます。あまりにも、もったいない話ではないでしょうか。
40代、50代こそ、コスパのいい着実な投資を
もし、このままのペースでHさんが65歳まで運用を続けた場合をシミュレーションしてみましょう。
総資産 約4100万円
投資元本 約1300万円
利益 +約2800万円
もっとも単純な方法で投資を続けるだけで、これだけの結果がでます。年に数回、気が向いたときに投資状況をチェックする以外、Hさんがやることは一切ありません。
Hさんが投資に使った時間も考えてみましょう。投資を始める前に書籍を読んだり、迷ったりする時間を除けば、口座開設は、YouTubeを見ながら最短5分~、投資信託の積立設定も5分~あれば終わってしまいます。(積立設定は、数クリックで完了します。積立設定というと難しく感じますが、実はアマゾンで買い物をするくらい簡単です)
これまでどおり、Hさんが投資状況を年に数回チェックするだけなら、生涯で4~5時間程度しか、時間を割かなくて済むでしょう。現時点では、新NISAを使い、投資信託を積み立てるという投資法以上にコスパのよい方法は見当たりません。たった数時間の手間で数百万円~数千万円の差が生まれるのです。
株や暗号資産はハイリスクでコスパが悪い
もし、株や暗号資産で資産を作ろうとしたら、どうなるでしょうか。
個別株の取引で利益を上げている人は確かにいますが、彼らは膨大な時間を投じて専門的な知識を身につけ、独自の投資哲学を確立しています。株式投資に人生の大部分を捧げているといっても過言ではありません。まとまった資金を持ち、株式市場を徹底的に研究し、もはや投資家というより専門職といえる存在です。普通のサラリーマンが仕事の合間に個別株取引をしても、こうしたプロの養分になるだけでしょう。
また「トランプ政権の誕生で、ビットコインが史上初の9万7000ドル乗せ」とニュースが流れましたが、こうした急騰のニュースに興味を持つのは自然なことです。しかし、ここで重要なのは、こういったニュースに感化され、よくわからないのに大きな金額を投じたり、ハイリスクと呼ばれる金融商品への投資の割合を増やしてしまうことです。
例えば、私の知人は暗号資産の信用取引で1500万円以上の損失を出しました。これは金銭的な損失だけでなく、その金額を稼ぐのに費やした何年もの労働時間も同時に失ったことを意味します。40代、50代で築き上げてきた資産を失えば、その回復に必要な時間は若い頃の倍以上かかるかもしれません。
暗号資産、FX、どの分野でも「簡単に儲かる」という話は聞こえてきますが、それらは決して「時間対効果の良い投資」とは言えません。むしろ、勉強時間や取引にかける時間、そして失敗した際の回復に必要な時間を考えれば、慎重に考えるべきです。
Hさんのように、まずはリスクが低く、手間のかからない投資信託での積立投資から始めるのが、結果的に最も効率的で安全な資産形成への道となります。お金も時間も大切な資産です。だからこそ、両方を賢く活用できる投資方法を選ぶべきなのです。