1.年金の全体像 なぜ保険料と年金額は毎年変わる?

年を重ねるごとに「はたして自分は老後にいくらもらえるのだろう?」と、だんだん公的年金制度を意識するようになる人もいるはずです。年金は老後に働けなくなったときにもらうイメージが強いかもしれませんが、それだけに特化した制度ではありません。家族を養う担い手が亡くなったときに受け取れる遺族年金、病気やケガをした際に受け取れる障害年金も生活を保障してくれる大事な制度です。公的年金は3大リスクに備えたセーフティネットと言えます。

それらのリスクに対して、個人ではなく社会全体で備えるというのが公的年金の根本にある発想です。あくまでも「払う」と「受け取る」がワンセット。払わずしてもらうことは原則ありません。年金の財源は保険料と国庫負担、積立金で成り立っています。現役時代に払った保険料を積み立て、老後に受け取る「積み立て方式」ではなく、高齢者世代の年金給付をその時点の現役世代からの保険収入で賄う「賦課方式」が採用されています。

年金額は賃金と物価の変動に合わせて毎年改定されていきます。しかし、それらの変動がそのまま反映されるわけではありません。現役世代が将来受給する年金の給付水準を確保するため、賃金と物価が上昇した場合、現役世代の人口減少や平均余命の延びなど社会情勢に合わせて年金額の伸びを抑制する「マクロ経済スライド」による調整が入るのです。「インフレで生活が大変だから、年金を増やしてほしい」の要望に応えて湯水のように給付していては、年金制度が目指す「100年先まで続く」を実現できません。そのため財政均衡を図るべく、2004年から導入されたシステムです。