元本割れはないが、途中解約すると損
このような債券のリスクを極力抑えて、個人が安心して購入できるようにしたものが個人向け国債です。毎月発行され、銀行や郵便局、証券会社などで1万円から購入できます。発行後1年間は換金できませんが、その後はいつでも1万円から換金可能です。換金時には、国が額面金額で買い取るため元本割れはありません。
ただし、中途換金調整額として、直近2回分の「利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます。個人向け国債は半年ごとに利息が受け取れますが、中途換金すると直近1年分の利息は受け取れないということです。定期預金よりも高い金利をつけていたとしても、1年後に使う可能性があれば、1年定期にしておいたほうが無難です。
個人向け国債には「変動金利型10年満期」「固定金利型5年満期」「固定金利型3年満期」の3タイプがあります。変動型は半年ごとに実勢金利に応じて変動する変動金利タイプ、固定型は発行時に設定された利率が満期まで変わらない固定金利タイプです。
いずれのタイプも、年率0.05%の最低金利保証がありますので、経済環境等により実勢金利が下落しても0.05%を下回ることはありません。
変動型なら金利がさらに上がっても安心
現在募集中(2025年2月6日~28日)の金利は、変動10年が0.83%、固定5年が0.89%、固定3年が0.74%です。今後の金利上昇の可能性を考えれば、半年ごとに金利の見直しが行われる変動10年を選択するのが合理的だと思われます。
変動10年の金利は10年固定利付国債の利回りがベースになります(※3)。10年国債は最も流通量が多く、日々市場で取引されて価格形成が行われることから、政策の影響を強く受ける短期金利よりも自由度が高く、インフレなどの経済状況を反映しやすくなります。そのため、定期預金を上回る金利が期待できます。
個人向け国債に購入金額の上限はありません。金融機関の破綻を懸念して、1金融機関への預け入れを1000万円までにしている(※4)人にとって、預金より高い金利で、金額を気にすることなく安心してお金を保管できる場所となります。
(※3)適用利率(年率)は基準金利に0.66を掛けた値(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)。基準金利は利子計算期間の開始日の前月までの最後に行われた、10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札価格を基に計算される複利利回り(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)の値
(※4)金融機関が破綻した場合、預金保険機構が預金者に保険金を支払うペイオフという制度があり、預金者1人あたり、1金融機関ごとに合算され、元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護される